あきりんの映画生活

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「散り椿」 (2018年)

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2018年 日本 112分
監督:木村大作
出演;岡田准一、 西島秀俊、 黒木華

カメラが美しい時代劇。 ★★★

藩の不正を糺そうとして失敗し、放逐されていた瓜生新兵衛(岡田准一)は、亡くなった妻との約束を果たすために故郷の藩に戻ってくる。
いまだに不正事件の跡がくすぶっている藩では、悪家老が新兵衛を疎ましく思い、何かとちょっかいを出してくる。

カメラマン出身の木村大作監督なので、映像は文句なしに美しい。
それに、そこに被さってくる加古隆の音楽も好い。
チェロの低い響きがとても好い。
ただ何度も流れる主題曲が、どことなく、そう、あの名曲、「ゴッドファーザー愛のテーマ」に似ていたと思うのは私だけ?(汗)

新兵衛はかっては平山道場四天王の一人といわれていた。
だから剣の腕は立つ。人切り新兵衛である。
時代劇の主人公が剣の腕が立つことは、これ絶対必要条件(笑)。

平山同情の親友であり、亡き妻の恋敵でもあったのが采女西島秀俊)。
彼もまたかっての不正事件で義父を暗殺された当事者でもあった。
そして、事件の責を取って自害したもう一人の親友もいた。
こう書くと人間関係がややこしいように思えるかもしれないが、時代劇なのでそれほど複雑なことはない。

雪降り仕切る中での大立ち回り。
新兵衛と采女の一騎打ち(これはすぐに双方が刀を引いてしまうが)。
そして大円団での悪家老一味との大乱闘。
どの場面でも岡田准一の殺陣は見事だった。
姿勢を低くした身体の動きにはキレがあり、これまで観てきた殺陣とはひと味違う美しさがあった。

台詞も泣かせる。
新兵衛が亡くなっていく妻に尋ねる、お前との約束を果たしたら褒めてくれるか?
妻が答える、お褒めいたしますとも。

妻が新兵衛に託した約束の本意が最後にわかる。
ああ、なるほど。新兵衛がそれほど妻を愛していたことを、妻もまた知っていたが故の頼み事だったのだな。

日本的な情感が漂っている映画です。
岡田准一の見事な殺陣と、木村大作の映像美を楽しむ映画です。