1995年 アメリカ 102分
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク、 ジェリー・デルピー
旅先で始まる新しい恋の物語。 ★★☆
列車で偶然に乗り合わせた若い二人は意気投合して、途中下車したウイーンの街で一日を過ごす。
ジェシー(イーサン・ホーク)は明朝にはアメリカへ帰らなければならないし、セリーヌ(ジェリー・デルピー)はパリの大学へ戻る途中。
明日には別れが待っている一日に、二人はあてどもなく歩き続け、とりとめもなく話し続ける。
そうだった、恋に落ちたときには、とにかくしゃべったものだった。
そして、あまり眠ることもせずに夜明けを一緒に迎えたこともあったのだった。
そんな心の高ぶりに共感できる年齢に観れば、この映画の評価はずいぶんと高いものになったことだろう。
しかし、いかんせん、すでに<惑わず>の年齢をとっくに過ぎてしまった身には、この映画も”遠いおとぎ話”になってしまった。残念。
二人が街で行き交う人々は、それぞれに味があった。
素人芝居をしているという二人の男性、路上で詩を作って売っているホームレス、赤ワインを1本渡してくれるバーテン、などなど。
「第三の男」で有名なあの大観覧車をはじめとするウイーンの街並みも風情があった。
そして印象的だったのは、昨日二人が彷徨った街並みが、夜明けの白々とした光に無人で照らされている光景。
あのミケランジェロ・アントニオーニの「太陽はひとりぼっち」でも、作品の最後にアラン・ドロンとモニカ・ヴィッティが彷徨った街並みが無人で映し出されていたのだった。
夜が明け、駅での別れ。
あの二人は半年後に再会したのだろうか?
邦題は失敗していると思う。原題「Before Sunrise」を直訳した方が良かったのでは。