2005年 アメリカ 122分
監督:アンドリュー・ニコル
出演:ニコラス・ケイジ、 イーサン・ホーク
社会派ドラマ。 ★★
実在した何人かの武器商人をモデルにしたフィクション映画。
特殊な人生を送った人物の一代記だから波瀾万丈ではある。
ではあるのだが、どうも盛り上がりには欠けていたような・・・。
ソビエトが崩壊直前のウクライナに生まれ、その後、アメリカに移住したユーリー(ニコラス・ケイジ)。
弟ともに親が経営するレストランを手伝っていたのだが、ある時、ギャング同士の銃撃戦を目撃する。
そんな場面に居合わせれば、普通の人はただただ怖ろしいことだと思うだけ。
ところがユーリーが普通の人ではなかったのは、武器を必要としている人がいるぞ、彼らに武器を供給すれば儲かるぞ、と考えつくところ。
持って生まれた性格みたいなものがあったのだろうか?
そうしてユーリーは弟と2人で武器売買の事業を始める。
そりゃ危険と隣り合わせ。裏社会との付き合いもしていかなければならない。
彼には武器商人としての天性の才覚があったらしい。
めきめきと頭角を現して、世界中の戦争、紛争に関与するようになる。
主人公のユーリーはあるところではとても普通の人っぽい。
あこがれの女性を手に入れるために無理をして資産家のふりをする、姑息な嘘をつき続ける。
ニコラス・ケイジもいかにも普通の人っぽい雰囲気で演じている。決して”狂気の人”の雰囲気ではない。
しかし、ユーリーには人殺しの道具の供給を商売にしているという罪の意識、良心の呵責なんてまったくなし。
目の前で自分が持参した銃で人が撃ち殺されても、その銃が中古品になってしまったことを嘆くだけ。
武器販売はただのビジネスとしか考えていない。武器販売がもたらす意味なんか考えていない。
優秀な営業マンであるわけだが、やはり”狂気の人”なのだ・・・。
そんな彼を逮捕しようと追いかけるのがインターポールのバレンタイン刑事(イーサン・ホーク)。
いつもながらのちょっとシニカルな雰囲気で好いねえ。
結局ユーリーの人生は何だったのだろうか?
映画としては、武器商人を描くことによって、さらには武器商人が儲けるような武器を作り続ける会社/国家をその裏に描くことによって、真の大量殺戮者を晒したかったのだろう。
付記:(笑い話)
カタカナ表記の邦題から、私は(オブがおかしいが)「戦争への道」のような意味と思っていた。
違った。”ロード”は、RではなくLだった。「戦争の支配者」の意味だった(汗)。