2021年 アメリカ 108分
監督:ロバート・ローレンツ
出演:リーアム・ニーソン
孤独な初老男と少年の逃避行。 ★★☆
愛する妻に先立たれたジム(リーアム・ニーソン)は、メキシコとの国境近くの農場で孤独な生活をしていた。
そんなジムは、ある日、国境を越えてきたメキシコ人親子の母親が追手の銃弾に倒れるところに遭遇する。
追手は麻薬カルテルの一味だったのだ。
そしてジムは、息を引き取る直前の母親に、11歳の息子ミゲルをシカゴに住む親類のもとに送り届けてほしいと頼まれる。
う~ん、困ったな。
タイトルの「マークスマン」とは射撃が上手な人を指す言葉。
アメリカでは、陸軍や海兵隊、警察で射撃が上手な人にその技量を認定するバッジを与えるとのこと。
というわけで、元海兵隊の狙撃兵だったジムも狙撃の名手だったわけだ。
頑固で孤独な初老男と、家族を失ったメキシコ人少年のロード・ムービー。
彼らを追ってくるのは怖ろしい麻薬カルテルの一味。
筋立てとしてはわかりやすい。
行きがかりで子供を助けて、追ってから逃げつづける、という映画はときおりある。
有名なところでは、姉御肌のジーナ・ローランズがヒロインだった「グロリア」があった。
もともと、ロバート・ローレンツ監督は長くクリント・イーストウッド監督の助手のようなことをしてきた人物。
今作も、孤独な初老男という主人公のテイストは「グラン・トリノ」などイーストウッド監督映画に通じるものがある。
そういえば、最近のイーストウッド監督の「クライ・マッチョ」もメキリコから国境を越えて、アメリカに子どもを連れてくる物語だった。
設定まで似てしまった?
麻薬カルテルの一味は、追跡の途中で無関係な人も容赦なく殺していく。
そしてクレジットカードで支払をいたジムの位置情報を探り当てるというハイテクまで駆使して追ってくる。
ジムよ、かなりヤバいぞ。
本作のリーアム・ニーソンはかなり年老いた感じとなっている。
愛妻を失ってからは生きる張り合いもなくしていたようなのだ。
そんな彼が、頼まれた以上はやり遂げると頑固に頑張るだけに、観ている者は応援したくなるのだ。
彼の台詞、「自分から選んだ道ではないが、この道を行くと決めたのは自分だ」
格好好い台詞である。
ラスト・シーンは、ひょっとしたらとは思っていたのだが、実際になってみると、やはり、ああと思ってしまう。
渋さと悲哀が漂うリーアム・ニーソンだった。