あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「バックトレース」 (2018年)

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2018年 アメリカ 96分
監督:ブライアン・A・ミラー
出演:マシュー・モディーン

B級サスペンス? ★☆

 

7年前に2,000万ドルの強盗事件が起きた。
犯人たちは内輪もめをして殺し合いをし、ただ一人生き残ったマクドナルド(マシュー・モディーン)も記憶喪失となり、大金は行方不明のままだった。

 

この映画、まるでシルヴェスター・スタローンの映画のように宣伝していたが(私もそれにのせられて観てしまった)、まるで脇役である。
若干は絡んでくるが、スタローンである必要はどこにもない映画。
すると、誰も観に来なくなる映画。

 

マクドナルドの記憶を蘇らせて大金を見つけようと、3人の謎の男女と、その金を横取りしようとする悪FBI。
こいつらが右往左往するのだが、展開に盛り上がりは・・・ほとんど、ない!
かってその事件を担当してた刑事がスタローンという設定。
で、スタローンもこの騒動に巻き込まれて行く。

 

マクドナルドの記憶も蘇り、悪FBIも懲らしめられて、よかった、よかった、という終わり方なのだが、まったくすっきりしない。
大体がマクドナルドは強盗犯の親玉じゃないか。
そこに家族愛をからめようったって、元はといえば、悪人の父親だったのだからなあ。

 

ということで、スタローンの映画はどんな端役の出演作でも完全視聴しておきたい、という超ファン以外にはお勧めしません(苦笑)。

 

「マイル22」 (2019年)

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2019年 アメリカ 95分
監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォルバーグ、 ジョン・マルコビッチ

単純明快アクションもの。 ★★☆

 

舞台は東南アジアの某国。
CIA要員のジェームズ(マーク・ウォルバーグ)率いる精鋭特殊部隊がある任務のために米国大使館に集まっていた。
盗まれた核物質の行方を知る重要参考人を国外へ亡命させること、それが任務。
大使館から空港までの22マイル(換算すると、約35km)を護送していくのだ。

 

この映画は、もうそのことだけを描いたもの。
もちろんその22マイルには、亡命を阻止しようとする敵が何重にも取り囲んで待ち構えている。
周り中、重火器武装の敵だらけ。異国の地で援軍など来ない。
さあ、護送任務はどうなるか。

 

似たような設定の映画に、ブルース・ウィリスの「16ブロック」というのがあった。
ひょんなことから囚人を護送することになった(世界一不幸な)刑事が、なあに、たった16ブロックだけ送り届けりゃいいんでしょ、と出かけたところ、次々に襲撃されるといったものだった。
移動距離も短いし、移動は基本徒歩だし、武器も拳銃だけといったものだった。

 

それに比べて本作は派手そのもの。
銃撃戦も戦闘という言葉がぴったりな大がかりなもの。
それが次から次へと展開される。なにせ、敵が攻撃の手を緩めてくれない。もう、銃撃戦のオンパレード。
まあ、この映画はそれを目的に観る映画です。

 

護送される人物役にイコ・ウワイス。
と、名前を聞いただけではぴんと来ないが、顔を見れば、ああ、「ザ・レイド」で出ていたシラットの達人だ!と思い出す。
ということは、護送される奴も単におとなしくしているわけではないのだった。

 

最後の展開は皮肉を効かせたつもりだったかも知れないが、あまり効果的ではなかったような。
アクション場面だけを楽しむつもりで観ましょう。
何か残るものを求めて観てはいけませんよ。

 

「聖杯たちの騎士」 (2015年)

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2015年 アメリカ 118分
監督:テレンス・マリック
出演:クリスチャン・ベイル、 ケイト・ブランシェット、 ナタリー・ポートマン

美しい映像詩の世界。 ★★★★☆

 

映画が映像と音で何かを伝えるものだとしたら、伝えられるものが物語である必要はどこまで求められるのだろうか。
そんなことも考えさせてくれる”映画”である。
ここには物語と呼べるものはとても曖昧で、映像を繋ぐための役割しか果たしていないようにさえ思える。

 

主人公は脚本家として成功しているリック(クリスチャン・ベイル)。
舞台はハリウッドとラスベガスで、華やかなセレブの世界のパーティがくり返されている。
そんな享楽的な日々に流されている主人公だが、次第に自分の人生が失われていくような不安を抱いてもいるようだ。

 

章立てになっていて、各局面にはタロットカードがあらわれる。
そのカードの意味するところが描かれているとのことなのだろうが、残念ながらその点についてはよく判らなかった。

 

ここにはない何かを探してさまよい始めたリックの前には、別れた妻、現在の現恋人、ゆきずりの愛人、など6人の女性があらわれる(ケイト・ブランシェッ、ナタリー・ポートマン、など)。
彼は彼女らと、柔らかく、しめやかで、それでいて捉えどころのないような時を過ごす。

 

映像は息を呑むほどに美しい。どの場面を切りとっても絵になっている。
カメラは3年連続でオスカー受賞をした撮影監督エマニュエル・ルベツキ

 

素足で歩く砂浜、打ち寄せる波。水量が減った運河の川底。高速道路のトンネルの連なる灯り。
喧噪に満ちたパーティ会場、気怠い目覚のベランダ。・・・
あまりに美しいので(苦笑)、思わず眠気に誘われてしまう。

 

そう、これはアンドレイ・タルコフスキーの映画を観ている時と同じような眠気の時間なのだ。
そこには神経を逆立てるような違和はまったくなく、ただただ美しい画面が差し出されてくる。
この眠気はとても贅沢なものなのだ。

 

女たちとの逢瀬の一方で、父親や弟との葛藤と愛憎を思わせる映像も入ってくる。
主人公にはすでに亡くなっているもう一人の弟も居たようで、彼の存在が家族に悲しみをもたらしているようなのだ。
しかしそれらは断片的な映像と短い会話などで伺い知るだけである。

 

台詞はリックや女性たちの独白にも似たもので、詩的である。
何も説明されることはない。
物語を求めることなく、ただこの映像をメッセージとして受け取れる人には至福の時間を与えてくれる映画である。
そうでない人には・・・退屈な映画だろうなあ。

 

「守護教師」 (2018年)

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2018年 韓国 100分
監督:イム・ジンソク
出演;マ・ドンソク、 キム・セロン

拳一本、熱血教師。 ★★☆

 

名画座でのマ・ドンソク2本立て上映のもう1本。
こちらはどうかな。

 

暴力沙汰で失職したギチョルは、なんとか田舎の女子高の体育教師という働き口を見つける。
が、図体が大きく、むさいおっさんのギチョルは完全に浮いている。
小生意気な女子高生にキモいと馬鹿にされて、困ったちゃん。そりゃそうだよなあ。でも、そんなマ・ドンソクがなかなかに可愛い。

 

そんな中、行方不明になっている友だちを捜すユジン(キム・セロン)と出会う。
なぜか学校の先生も警察も、その子の捜索はおざなり。
何故だ? なにかおかしいぞ。
ギチョルはユジンと一緒に謎を追い始めるのだが・・・。

 

ユジンがどこかで観たことがある顔だなと思っていたら、あ、そうだ、キム・セロンだった。
彼女は「私の少女」や「アジョシ」で名子役と言われていた(名作の誉れ高い「冬の小鳥」は未見)。
たしかにすごい存在感のある子だった。
そんな彼女がもう女子高生になっていたのか。
でも、以前に比べると割と普通の感じの子になっていた。ちょっと残念。

 

ここまでのあらすじでわかるように、この映画は基本的にサスペンスである。
バイオレンスものではないのである。
だからマ・ドンソクの魅力が発揮される敵をぶん殴るシーンは、後半になるまで出てこない。
そこが期待していたファンには物足りない?

 

しかし、ギチョルはボクシングの元東洋チャンピオンという設定。
ついに繰り出される鉄拳の一発一発の重そうなこと。頑丈そうなドアだってぶち破るぞ。
普通の人だったら一発喰らったら完全に内臓破裂だな(汗)。

 

犯人は前半で登場したときから、ああ、こいつだな、とわかる程度のお話。
この映画はそれでいいのである。
マ・ドンソクの、案外かわいらしい一面が見えたりするそのギャップも楽しめます。

 

マ・ドンソクはマーベルに出演が決まったとか。
これからも頑張るわけだな。

 

「無双の鉄拳」 (2018年)

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2018年 韓国 116分
監督:キム・ミンホ
出演:マ・ドンソク

拳で戦うキレテル親父。 ★★★

 

このポスターの目力を見てほしい。

こんな男に眼をつけられたら、もう、ご免なさいと言って逃げるしかない(笑)。

キレた親父と言えばリーアム・ニーソンだったり、スティーブン・セガール
しかし彼らは元CIAであったり海兵隊員であったりして、武器を使って戦うことも多かった。
今作のキレた親父はただの市井の人。
だから武器は使わない。ひたすら己の肉体だけで戦っていく。熱いぞ。

 

主人公のドンチョル役はマ・ドンソクという人。
まったく知らない俳優さんだったが、まあ、イケメンとはほど遠い粗野な風貌。
身体はそれこそラグビー選手かというようながっしりしたもので、こりゃたしかに肉弾戦は強そうだなと思わせる。

 

ドンチョルはその世界では名が知られた暴れん坊だった。あだ名は“雄牛”。
そんな彼は、女神のような女性ジスと知り合い、今は魚市場で真面目にこつこつと働いている。
暴れん坊ドンチョルも愛するジスの前では肩をすぼませて尻に敷かれている。

 

しかしある日、ジスの美しさに目をつけた悪党が彼女を誘拐する。
半狂乱になるドンチョル。
おのれ、ジスに何かあったら許さんぞ。
誘拐犯は身代金を要求するどころか、大金を寄こしてくる。そして、この金をやるから奥さんのことは忘れろ。
何だ、この野郎は? おのれ、ジスを返せ。

 

警察なんかあてにはならん、俺が自分でジスを取り戻すぞ。邪魔する奴はみな叩きのめすぞ。
ドンチョルを兄貴と慕う若者と、腕は良さそうなのだがどこか頼りなさげな探偵を引き連れて、彼はジスを探し求める。
この二人がコミカル部分の担当で、好い味を出している。

 

誘拐犯のボスが嫌味な奴。
掠ってきた美女たちを、さらに客の好みで整形手術して売り飛ばす。なんて奴だ。
悪逆非道、部下の失敗にも容赦はしない。それでいてどこか小心者で小者っぽいところが妙な味になっていた(宇崎竜童を思い浮かべたのは私だけ?)。

 

さてこの映画の見所は、タイトルにもあるとおりのマ・ドンソクの無双ぶり(原題は「怒れる牡牛」)。
情報を得るために危ない場所に乗り込んだときに、5人の用心棒がかかってくる。
こんなおっさん、簡単に追い払ってやるぜ。
ところがドンチョルの鉄拳は用心棒たちをあっという間にのしてしまう。
これなんだなあ、この映画の見所は。

 

とにかく敵がナイフを持っていようが斧を持っていようが、ドンチョルは己の拳と怪力で相手を叩きのめす。
ただのおっさんを相手にしたつもりだったのが、実はとんでもないキレたおっさんだったわけだ。

 

映画の最後、蟹の輸入話にのっていたドンチョルがめでたく事業に成功するオチが付いていた。
ここまでくるとあまりにお伽噺風だったけれど、気持ちよく観ることができたからOKとしよう。

 

この映画のタイトルで観ようと決めた人なら、裏切られませんよ。

 

 

 

「フォルトゥナの瞳」 (2018年)

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2018年 日本 111分
監督:三木孝浩
出演;神木隆之介、 有村架純

SF恋愛もの。 ★★☆

 

タイトルにある「フォルトゥナ」とは、ローマ神話に出てくる運命の女神のこと。
人々の運命を司っているそうで、英語の「運命(フォーチューン)」の語源とか。
この映画の原作は百田尚樹の同名小説。

 

死が近づいた人が透けて見える能力を持つ真一郎(神木隆之介)。
飛行機事故で両親を失って以来、孤独に生きていた。
そんな彼が携帯ショップで葵(有村架純)と出会う。二人はすぐに恋に落ちる。

 

この能力の特異な点は、死が近づいている人を助ければ自分の命を縮めてしまうというところ。
これは辛い宿命を背負わされたものだと思う。
死んでいく人の運命を知りながら、自分の命のためには何もしないのか・・・?
たしかに、あの医者のように、すべてを自分には関係のないことだと割り切って生きて行くしかないのかも知れない。

 

やがて真一郎は葵の身体が透けて見えはじめたことに気付く。
えっ! どうすればいいんだ?

 

(以下、ネタバレです)

 

葵が同じようにフォルトゥナの瞳の持ち主だということは、割と早い段階で真一郎も透けた状態を見ていることからわかってしまう。
もっとこれは後半まで隠しておいた方が好かったのではないかなあ。

 

これまで他人を救うことをしなかった葵も、最後には真一郎を救うために自分が事故死する選択をする。
しかし、真一郎はそれでも葵を始めとして多くの人の命を救おうとする。
愛のための自己犠牲の極地である。

 

(ツッコミ?)

 

葵が真一郎を助けようと思ったら、自分だけは電車に乗らないという選択もあった?
真一郎は、葵が乗っていなくても事故を防ごうとした?
う~ん、どうなんだろ。

 

泣けたという感想、評価が高いこの作品だが、私にはそこまでのものではなかった(汗)。
設定としては上手く作ったと思えるのだが、内容はどうも軽かった。
この設定、この主題だったら、もっと深みのあるものにできたように思うのだが・・・。
脚本が悪い? それとも監督の手腕不足?

 

「億男」 (2018年)

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2018年 日本 116分
監督:大友啓史
出演:佐藤健、 高橋一生、 黒木華、 沢尻エリカ

一攫千金のお金の価値は? ★★

 

高額な宝くじに当たる人は実際に毎年何人かはいるわけだ。
そんな人たちは概してその後の人生を誤って不幸になるという都市伝説みたいなことも言われている。
実際はどうなのだろう?

 

失踪した兄の借金3000万円を肩代わりする羽目になり、妻子にも逃げられた一男(佐藤健)。
情けない日々を送っていたのだが、ある日、なんと宝くじで3億円が当たってしまう。
ええっ! こんな大金、どうすればいいんだ!

 

一男は、大学時代の親友で今は会社経営をしている億万長者の九十九(高橋一生)に相談する。
いろいろと有益なアドバイスをしてくれる九十九。
ところが一緒に馬鹿騒ぎをした翌朝、九十九は3億円とともにいなくなってしまう。
俺の3億円はどこへ行った? あの金があれば俺の人生はやり直せるはずだったのに・・・。

 

設定からしてコミカルで、この後、途方に暮れた一男が会う“億男”と呼ばれる金持ちたちもみんな奇妙な人物ばかり。
本当の億万長者たちはお金に対する考え方が普通人とは違うのだよ。

 

特に笑えたのは藤原竜也が演じたえせカリスマ伝道師。
まさかあんな単純なことではないのだろうが、大衆を扇動してあぶく銭を稼いでいる人って実際にいるのだろうなあ。

 

映画そのものにはそれほど深みも感じられず、流し観に終わってしまった。
九十九が砂漠で演じていた落語「芝浜」を確認すると、その内容をそのままなぞった物語だった。
すると、「芝浜」を知っていた人は、途中でこの映画のオチはわかってしまっていた?