あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。1800本余りの映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。

「Rain レイン」 (2003年)

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2003年 アメリカ 98分
監督:マイケル・メレディス
出演:ピーター・フォーク

雨がつづく3日間の不幸な人たちの群像劇。 ★★★

ラジオから流れるジャズをバックに、雨のクリーブランドを映す画面は美しい。
6組の人間模様が描かれるのだが、たとえば息子を亡くしたばかりのタクシー運転手とか、やさしい息子に嘘をついて金を借りるアル中の老人(ピ-ター・フォーク)とか、雨漏りのする部屋で作っていたタイルが駄目になり家賃の支払いもままならない職人とか、みな、雨の中にとじ込められて不幸なのだ。
ロシアの劇作家アントン・チェーホフの短編小説をくみあわせて脚本が作られたとのこと。

それぞれの話は気の向くままに語られるのだが、彼らがお互いに関係し合うことはない。最後まで平行のままである。
同じ街に別々に暮らす人々の、雨の降る3日間の、それぞれの話なのである。

だから、降り続いた雨が上がり、ラジオが番組で最後の曲が流れて映画も終わるのだが、映画を見終わったという満足感はほとんど感じられない。
あの人たちの人生はこれからも同じようにあの街でつづいていくだろうな、と感じられるだけだ。

激しい感情移入をしてみるような映画ではない。
淡々と描かれる他人の人生を、ただこちらも淡々と観る、そんな映画である。
じわーっと染み込んだ印象がいつまでも残る、そんな映画である。

それぞれの登場人物が抱えた悲しみの種類はみな異なっている。
肉親の死であったり、金銭的な問題であったり、夫婦間の考え方の相違であったり、精神遅滞に対する世間の迫害であったり、麻薬に溺れてしまう弱さであったりする。

なかでも、すぐに判ってしまうような悲しい嘘を息子についてお金を借りる老人はせつなかった。
嘘にもならないような見栄をはったりするものだから、観ているこちらはますます悲しくなってしまう。
他の人の場合は、襲ってくる事件がその人にとって悲しいのだが、この老人の場合は、老人の存在の仕方そのものが悲しいのだ。

それにしても、DVDに収められていた予告編はひどかった。
まるで別の映画の予告である。あれを作った人は、この映画のことはなんにも判っていなかったのだなと思う。

宣伝ではヴィム・ベンダースが製作総指揮をとったようになっている。
果たしてヴェンダースがどこまで関与したのかは不明だが、確かにヴェンダースが好きな人なら気に入るのではないかな。