2011年 インド 96分
監督:アモール・グプテ
少年たちの友情物語。 ★★★
インド映画だが、お馴染みの歌もなければ踊りもない真面目な(汗)映画。
スタンリーは、なにか家庭の事情があるらしく、お弁当を持ってこられない。
昼食の時間になると、友だちには売店で何か買ってくると言って教室を抜けだし、水道の水を飲んで空腹をしのいでいた。
日本で言えば小学校高学年ぐらいかと思える年頃なのだが、こんな状況に置かれている子どもの姿を見るのは切ない。
スタンリーが純真無垢そのものといった子どもなので、その健気さがなおさら切ない。
やがてそのことに気づいたクラスの仲間は、自分たちの弁当を少しずつスタンリーに分けてあげることにする。
卑下することもなく、素直に喜ぶスタンリー。
クラスメートもそうすることが当たり前だとでもいった風で、みんな好い子なのだ。
苛めなどとは無縁の子どもたちだ。
ところが信じられないような意地悪教師が登場する。
国語教師のヴァルマー先生は、漫画かと思うほどに食い意地が張っている。
お昼時になると教師仲間の弁当をつまんでばかりいる。
さらに、スタンリーの友だちが持ってくる美味しそうな弁当が欲しくてたまらない。
なんとかスタンリーに分けられた弁当を横取りしようとする。
なんて酷い教師だ。
インドのお弁当といえば、何段にも重ねた丸い容器に入れている。
映画「めぐり逢わせのお弁当」で出てきていた。
それぞれの容器にカレーやナンやサラダが入っている。
あれは開けるのが楽しいだろうなあ。
さて、そんないけ好かないヴァルマー先生なのだが、なんと演じていたのは監督自身だった。へえ~。
さらに、主役の少年スタンリー役は監督の子供だった。へえ~。
スタンリーの家庭はどうなっているのだろうと、映画の始めから気になっていた。
お母さんがお弁当を作れない何か事情があるのだろうか、ひょっとしてスタンリーは家庭では虐待されているのではないだろうか・・・。
映画の後半になってその事情が明らかになる。
ああ、そうだったのか。
そしてスタンリーにお弁当を作ってくれる人があらわれる。よかったね。
この映画は、協力をもらった小学校で、1年半の日にちをかけて撮影したとのこと。
休みの日にだけ撮影をしたので、出演した子どもたちは1日も学校を休むことはなかったとのこと。
なるほど、子どもたちに配慮した好い撮り方だな。
無垢な子どもたちを描いて、なんとなくハッピーエンド的な雰囲気で映画は終わっていく。ホッとした気分になる。
しかし、よく考えればスタンリーのこれからの人生は、やはりかなり困難なことが推測される。
映画の最後には、インドで労働に従事しなければならない子どもたちの数が告げられる。
やはり貧富の差が大きく、貧しい子どもたちが多い国だったのだ。
頑張れ、スタンリー。