2012年 アメリカ 86分
監督:ノア・バームバック
出演:グレタ・ガーウィグ
モノクロお洒落映画。 ★★
ポスター写真と、奇妙なタイトルに惹かれて鑑賞。
「ハ」って、なんだ?
このヒロインが走っているポスター写真は、ドイツ映画「ラン・ローラ・ラン」を思い出させる。
あちらは殺されかかる恋人を助けようとして、オレンジ色髪のローラが何度も同じ時間軸を走り続ける映画だった。
こちらはまったくの文芸もの。
舞台はニューヨークのブルックリン。
フランシス(グレタ・ガーウィグ)はそこでプロの舞台ダンサーを目指す練習生。
彼女の日常を、ルーム・シェアしている女友だちや、その他の友人などを絡めてスケッチ風に描いている。
27歳なのにどこか未成熟な感じを与えるヒロインを、まったくの等身大に捉えている。
彼女は親友ソフィーとの慣れ親しんだ暮らしに満足のあまり、恋人からの同棲の誘いも拒否してしまう。
で、恋人にはふられてしまう。
その上、その親友のソフィーは恋人と暮らすために部屋を出て行ってしまう。
なにやってんだ、私・・・。
その後も男友達が2人で暮らす部屋に転がり込んだりするのだが、今度は職を失ったりもする。
ちょっと自分の都合のいいように物事を解釈してしまうんだよね、彼女は。
で、なにやってんだ、私・・・、となる。トホホ。
この手の映画は、やはり主人公に惹かれないと辛いものがある。
一番残念だったことは、私にはヒロインの女優さんの魅力が感じられなかったこと。
ヒロインはどちらかといえば老け顔で体格のよい女性なので、あまり繊細さが感じられなかった(汗)。
それに作中で踊るモダン・ダンスもあまり上手いとは思えなかった。
もちろん、ずいぶんと練習はしたのだろうけれど。
しかし、ヒロイン役のグレタ・ガーウィグは自らも映画監督をするような才人なのだ。
そしてこの映画の最後近く、フランシスはこれまでの経験を活かしての道を見つける。
好かったね。
筋はあるようなないような映画なので、ポイントは映画がかもし出す雰囲気に入り込めるかどうかだろう。
ということで、私の評価は低いものになってしまったが、このお洒落感覚が好き!という人もいるだろう。
人の好みは千差万別だよ。
タイトルの「ハ」。
これは映画のラストで訳が明かされるのだが、とてもすばらしいものだった。
このセンスは極上だった。