あきりんの映画生活

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「野蛮なやつら」 (2012年) ヤクと暴力とセックスと

2012年 129分 アメリカ 
監督:オリバー・ストーン
出演:アーロン・ジョンソン、 テイラー・キッチュ、 ブレイク・ライブリー

   ベニチオ・デル・トロ、 サルマ・ハエック、 ジョン・トラボルタ

クライム・サスペンスもの。 ★★★☆

 

映画は、劇中でOと呼ばれているオフィーリヤ役のブレイク・ライヴリーのナレーションから始まる。
不穏な結末をほのめかしながら、これまでの状況が語られる。

 

カリフォルニアに暮らすインテリ青年ベン(アーロン・ジョンソン)と、元傭兵のチョン(テイラー・キッチュ)。
親友同士の彼らは高品質なマリファナ栽培で大成功をおさめ、幼なじみの美女オフィーリアとの恋愛関係も共有していた。

 

ところが、彼らに目をつけて支配下に置こうとするメキシコの一大麻薬組織が接触してくる。
組織の申し出を断った彼らに対して、組織はOを拉致して大麻栽培ののっとりを企んでくる。
さあ、ここからOを助け出そうとするベンとチョンの戦いが始まる。
相手は情け容赦のない巨大悪組織だぞ。どうするんだ?

 

Oを演じたブレイク・ライブラリーは繊細な感じの美女で、ちょっとグゥイネス・パルトロウを思わせる。
屈託のないOは可愛いいのだが、二人の男に愛される魔性の魅力を持っているということなのだろう。

 

一人の女性をあいだにした男たち二人、といえば、アラン・ドロンとリノ・バンチェラの「冒険者たち」、F・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」が思い浮かぶ。
それに本作のセリフにも登場する「明日に向かって撃て」もそうだった。
どの映画も男たち二人はお互いの存在を認め合っていて、気持ちのよい関係だった。
この映画でもベンとチョンは互いに嫉妬することもなくOを”共有”していた。

 

主人公たちを囲む俳優陣がすごい。それぞれに濃い。
まずは犯罪組織の始末屋のベニチオ・デル・トロ
めだちすぎる(?)髭もあって、いつもにまして存在感ありすぎ。
粗野で残虐なメキシコギャングの迫力充分で、本当に人を殺したことがあるんじゃないかと思わせるくらい。怖いよ。

 

その組織の女ボスにサルマ・ハエッククレオパトラのような髪型で無表情。
親から受け継いだ組織を非情冷酷な手段で牛耳っている。

 

そして組織とベンたちのあいだに割って入ってくるのが狡猾な麻薬捜査官にジョン・トラボルタ
でっぷりとした体型に薄くなり始めている頭髪。いかにも権力を嵩にきた悪徳捜査官という感じになりきっている。
もう軽薄なダンスなんか踊っていないぜ(笑)。

 

この3者が入り乱れて、これでもかの展開となる。
これ、オリバー・ストーン監督だよね。「プラトーン」や「7月4日に生まれて」の監督だよね。
こんなぶっ飛んだ映画も作ったのか。

 

(以下、ネタバレ)

 

ラストは、おおっ!と言わせる二重オチ。
どちらのラストも有りで、映画的にははじめの方が正統的なのだろうが、いささかご都合主義ではあってもあとのハッピーエンドも良かったな。

 

主役3人以上に濃い存在感の脇役も楽しめる作品でした。