2013年 アメリカ 118分
監督:ニールス・アルデン・オプレブ
出演:コリン・ファレル、 ノオミ・ラパス
復讐サスペンス。 ★★★
組織の殺し屋ビクター(コリン・ファレル)は、実は妻子を殺された復讐を果たそうとしていた。
相手はその組織のボスと、実行犯だった大勢のアルメニア人。
その日のためにビクターは組織に入り込み、次第にボスの信頼を得ていく。
そんなある日にビクターは、向かいのマンションに住む女性ベアトリス(ノオミ・ラパス)とベランダ越しに知り合う。
彼女は交通事故で顔の左半分に大きな傷跡が残していた。
人生に失望し、交通事故の加害者に深い恨みを抱き続けるベアトリス。
ビクターも言ってみれば妻子の復讐をすることだけを生きがいにしているような人生。
ビクターもベアトリスも孤独な辛い人生なのだ。そんな二人が夜のベランダ越しにおずおずとやりとりをはじめるのは好い場面だった。
笑顔のないコリン・ファレルが結構渋い。太い八の字眉が憂愁である。
この映画、もちろんそんな贔屓のコリン・ファレルも好いのだけれど、なんといってもノオミ・ラパスだった。
左顔面の醜い傷跡を抱えた女性の、絶望、怒り、諦め、そして恋心。
そんなものが自分でも整理がつかない混沌としている様を好く演じていた。
ベアトリスが誘って、二人で食事に行く場面がある。
彼女が言う、同情で来てくれたのではないことは分かっているわ、貴方の殺人現場を目撃していたかどうかを確かめに来たのでしょう。
そうなのだ、彼女は殺人現場の目撃者だったのだ。
そして彼女は、ビクターの殺人を黙っている代わりに自分の顔に傷を付けた加害者を殺してほしいと頼むのだ。
舞台はもちろんニューヨークなのだが、なんとなく北欧っぽい暗さがつきまとっていた。
ノオミ・ラパスのイメージが影響しているだけではなく、やはり「ドラゴン・タトゥの女」の監督の感性が漂っていたのだろう。
やがてビクターの素性が組織にバレてしまう。
ベアトリスもビクターも、お互いのことを思って約束を破る。
ラスト、激しい銃撃戦となり、ベアトリスは人質になってしまう。
大筋としては復讐アクションものなのだが、それだけではない暗い情念が映画全体に流れていた。
ひと味違うラブ・ストーリーとしても楽しめます。
なんと、イザベル・ユベールがベアトリスの母親役で出ていますよ。