あきりんの映画生活

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「君がいた夏」 (1988年)

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1988年 アメリカ 99分
監督:スティーヴン・カンプマン
出演:マーク・ハーモン、 ジョディ・フォスター

甘酸っぱい青春回顧もの。 ★★★

青春時代は甘酸っぱい。思いかえされる青春時代はもっと甘酸っぱい。
この映画は、はっきり言って、それほどの名作、傑作ではないだろう。
それなのに見おわったあとに残る何とも甘く切ない感じは、いつまでも尾を引く。
名作ではないけれども、好きな映画である。

今は自堕落な生活を送っている野球選手ビリーは、6歳年上の従姉ケイティが自殺したとの知らせで故郷へ戻ってくる。
ケイティは、自分の遺骨の処分をビリーに託するという遺書を残していたのだ。
ケイティとはずっと前の夏の日に最後に会って以来は、まったく違う人生をおくっていたのに・・・。

ビリーにとって、お転婆で奔放なケイティは、姉であり、母親であり、憧れの人でもあったのだろう。
10歳のビリーは、親の留守中に、父親の車を無免許で運転するケイティに連れられて海辺へドライブする。勧められるままに煙草も喫ったりする。
すっかり大人ぶっているケイティは、ビリーの眼には少しでも近づきたい眩しい存在だったのだろう。

ビリーが砂浜で横になっているケイティの腕にそっと触れる場面がある。
ケイティは、「あなたは10歳で、私は16歳。いつまでも好い友達でいましょ。」と言って腕を引く。
このときのビリーに性の目覚めがあったのかどうかは不明だが、年上の女性に対する畏怖と憧れが上手くあらわれていた。

都会に出て野球選手をめざしたビリーは、ケイティとはまったく離れた別々の人生を歩んでいく。
二人はそれぞれにいろいろな相手と恋もする。
しかし、人生の節目節目でビリーを支えたのはケイティの存在であり、ビリーの気持ちの奥の方にはいつもケイティがいたのだろう。

青年になったビリーは、ある夏の日に久しぶりにケイティに会い、海辺へドライブに行く。いつかの少年だった日のように。
そして横にいるケイティの腕にそっと触れる。
今度はケイティは腕を引かなかった。6歳の年の差はそのままでも、二人とも大人になっていたのだ。

それが二人が会った最後の夏だったのだ。
それからもいろいろな恋をして結婚をして、結局は不幸になって自ら命を絶ったケイティ。
しかし、そんな彼女が一番安らかに愛することが出来たのはビリーだったのだろう。
ビリーにとってもケイティは、ただの恋人を越えた存在だったのだろう。

ちょっと蓮っ葉なジョディ・フォスターが、好い。
26歳だった彼女は、同じ年の映画「告発の行方」でアカデミー主演女優賞を取っている。
その影に隠れたような作品だが、なんか、切なくなる作品です。