2016年 日本 107分
監督:新海誠
(アニメ)
入れ代わり+タイムスリップSF。 ★★★☆
アニメ映画の記事を書くのは初めて。
アニメはこれまで、孫のお供で観に行った「ドラえもん」、あとはジブリもの、「アナと雪の女王」ぐらいしか観たことがないのだ。
しかし、この映画の世評はすごい。
で、どれほどのものかと、おそるおそる観に行ってきた。
確かにていねいに作られた映画だった。
ストーリーもよく練られているし、精緻な作画もきれい、声優も画面とよく溶けこんでいた。
ストーリーについては、それこそあちらこちらで詳しく紹介されているので省略するが、この映画の一つ目の鍵は、男の子の瀧と女の子の三葉の身体が入れ替わるところ。
といえば、大林宣彦監督の「転校生」があったが、この作品では遠く離れた地に住む見知らぬ二人の間でそれが起こるということ。。
なぜ、この二人にそんなことが起こったのか、などという説明はない。
それはもう、運命、だったのだ。
彗星と、太古からの神の伝承によって、結びつけられていた運命、だったのだ。
お互いに身体が入れ替わっている間の記憶がない、という点は話を面白くするポイントだった。
記憶がない間に俺は何をしたんだ? 私はどうしていたの?
で、入れ替わっていた間の記録をスマホで教え合う。う~ん、現代的だ。
この設定の面白さを踏まえて、物語がもうひとつの仕掛けによって大きくうねっていく。
田舎に住む三葉が、東京まで瀧に会いに行く場面がある。
中央線の中で二人は会うのだが、瀧の方は三葉のことをまったく知らない。なぜ?
瀧が三葉の住む田舎を訪れるのだが、そこは隕石の落下によって滅んだ村だった。
えっ、三葉はどうしていないんだ? なぜ?
瀧は手首にお守りのように組紐を巻いているのだが、あれ?俺はいつからこれを巻いていたのだろう? これはどうやって手に入れたんだっけ?
(以下、ネタバレ)
ふたつ目の鍵がそのあたりにあったわけだ。
身体が入れ替わっていた二人は、存在する場所が異なっていただけではなく、実は存在する時間も異なっていたのだ。
三葉が交流していた瀧は、三年前の時代に生きている瀧だったのだ。
こうした時間を越えた交流に題材を取った名作に「オーロラの彼方へ」があった。
とてもよくできた映画で、その仕掛けには唸ったものだ。
そして時を超えた男女の交流としては、韓国映画の「イルマーレ」がよかった。
こちらはハリウッド・リメイクもされているが、あまりに韓国版がよかったのでハリウッド版は観ていない。
それはさておき。
この時間軸のずれが、物語のクライマックスに結びついていく。
美しい絵、純粋で初心な心、そしてほっとするようなエンディング。
二人が、君の名は?と、あらためて初めて出会うラストも、ほのぼのとしていた。
この映画がヒットした理由もよく判ったのでした。