あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ワイルドスピード MAX」 (2009年)

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2009年 アメリカ 107分
監督:ジャスティン・リン
出演:ヴィン・ディーゼル、 ポール・ウォーカー、 ミシェル・ロドリゲス、 ガル・ガドット

シリーズ第4作。 ★★★

 

このシリーズが面白くなったのは、この第4作からだと思っている。
でも、ここまでシリーズが作られたということは、前の3作もそれなりにヒットしたということだな。
個人的にはここまではスルーなのだが・・・(汗)。

 

冒頭からドミニク(ヴィン・ディーゼル)ご一行のガソリン輸送車強奪がはじまる。
もうここからしてすごい。
トムの「ミッション・インポッシブル」に対抗しているのか、と思わせるような迫力で魅せてくれる。
燃えさかりながら転がってくるタンクローリーの下をかいくぐるのは、そんなの、ありか。

 

しかし、ドミニクは、なんと、恋人のレティ(ミシェル・ロドリゲス)が殺されたとの知らせを受ける。
まさか、贔屓のミシェル・ロドリゲスがここで退場してしまうとは、こちらも思っていなかった。寂しいなあ。
恋人のドミニクならなおさらのこと。
なにっ、レティが? おのれ、どいつだ、彼女を殺したのは?

ということで、麻薬組織のボスのブラガに復讐を果たすために、組織へもぐり込もうとする。

 

このシリーズのもう一人の主人公といえば、ブライアン(ポール・ウォーカー)。
やはりこの二人の顔合わせがないと、ワイスピとは言えないのだよ。
FBI捜査官の彼も麻薬組織に潜入しようとする。

 

そして組織の運び屋を選ぶための公道カーレースが始まる。
久しぶりに再会したドミニクとブライアンが、過去の因縁も背負って対決する。
ここはワイスピの本領発揮の場面。
改造車なのだか、ニトロを使うとエンジン出力がどうなるのだか、そんなことは疎いのでさっぱり判らないのだが、とにかくすごいスピードレースである。
迫力も半端ではない。

 

ということがあって、2人はぶじに麻薬組織にもぐり込む。
そして秘密トンネルを使ってのメキシコからアメリカへの麻薬密輸をおこなったりする。
トランプ大統領が知ったら脳溢血を起こして倒れてしまいそう(笑)。

 

この組織でいろいろな段取りを仕切っていたのがジゼルという謎の美女。
このジゼル役に、おお、ガル・ガドットだぜい。
彼女はこの後のシリーズにも続けて出ており、そして「ワンダーウーマン」で一躍スターの座についた。
ミス・イスラエルで兵役経験もあるとのこと。長身だし、華がある。

 

ジゼルはなぜか組織を裏切ってドミニクの味方になってくれたりもする。
そして、しきりにドミニクに秋波を送ってくる。
こんな美女が言い寄ってきているのに、ドミニクはレティの面影を引きずっているのだね。
でも、勿体ないなあ(苦笑)。

 

で、この後もカーレース場面があって悪玉ブラガをついにやっつける。
で、そのあと、ドミニクはどうなる? ブライアンはどうする?
死んでしまったレティの思い出をどうすればいい?

 

ということで、ついに「MEGA MAX」へ続いていく。
ここからはこのシリーズは本当にすごくなったなあ。

 

「ディアマンティーノ」 (2018年)

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2018年 ポルトガル 97分
監督:ガブリエル・アブランテス

奇想天外サスペンス? ★★

 

なんだ、この映画は? と呆気にとられる映画だった。
いろいろなテーマが詰め込まれているようなのだが、そしてそれをファンタジー調であらわそうとしているようなのだが、ネジが1本外れている。
この映画、作った本人は大真面目なのか?(汗)

 

主人公はポルトガルの英雄的サッカー選手。
試合の大事な局面になると、彼の前には大きなふわふわ毛並みの犬があらわれて、その犬たちと戯れるようにすると素晴らしいシュートを決めることができるのだ。
妙な幻想場面となるのだが、しかし、いったいあの犬は何?

 

登場人物も戯画的。
純粋で世間知らずの主人公をいいことにして、お金儲けの道具にしようとするのが双子の姉たち。
彼女たちが、まあ、トンデいる。
主人公に怒鳴り散らして自分勝手なことばかりしている。まあ、腹立たしいお姉さんたち
金儲けのためには、弟を妖しげな人体実験にも差し出してしまう。

 

その実験をおこなっている博士や、実験を管轄している政府役人も胡散臭い人物。
おまけにその実験の副作用で、主人公の胸は女性なみに膨らんでしまうのだ。
どうみたってコメディの展開なのだが、何故かまったくおかしくない。
なぜこれがコメディになっていないかが不思議なほどに、どこか白けている。

 

一方で、主人公はアフリカ難民の救済をしたいとのことで養子を取ることにする。
と、それを利用しようとした諜報機関はスパイを送り込んでくる。
何という展開だ。
しかも、同性愛の女の子を男の子だと偽って送り込んでくるのだ。

 

どうみたって女の子だろ、というのに、主人公は疑いもしない。
男の子だ、男の子だ、嬉しいな、と可愛がる。

ここまでくると開いた口が塞がらない。

 

どうやら監督の意図としては、ポルトガルの貧富格差、難民問題、それに科学技術の進歩に伴う危うさ、LGBTなどの問題を取り上げたかったようだ。
これでもかと問題を詰め込んでいる。
そしてそれがファンタジーでもなく、コメディでもなく、SFでもなく、人間ドラマでもないものとして差し出されている。

 

う~ん、これにはまいった。
上に挙げた要素のすべてのネジが外れている。
結局のところ、何が何だか判らない映画だった。
判ったのは、怒ってばかりいる双子の姉さんが本当に悪賢かった、ということだけだった(苦笑)。

 

カンヌ映画祭で国際批評家週間グランプリとパルム・ドッグ審査員賞を受賞しているとのこと。
へえ~。

 

「バシュランギおじさんと、小さな迷子」 (2015年)

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2015年 インド 159分
監督:カビール・カーン
出演:サルマーン・カーン、 ハルシャーリー・マルホートラ、 カリーナ・カプール

善意の人間ドラマ。 ★★★★

 

この映画を観るまでは、インドとパキスタンの間にこれほどの確執があるとは思っていなかった。
印パ戦争についてうっすらと記憶はあったが、そうか、宗教問題が絡んでいたのか。
それは根が深い。どちらも譲らない対立になるな。
そんな2つの国の対立情勢を背景にした人間ドラマ。

 

パキスタンの山村の5歳の女の子のシャヒーダー(ハルシャーリー・マルホートラ)は、生まれつき話すことができない。
そこで母に連れられてインドのイスラム寺院に願掛けにやってきたのだが、その途中で母とはぐれてしまう。
言葉が話せず、文字も読めない女の子が1人でインドに取り残されてしまう。
どうすればいい?

 

なんといってもシャヒーダーを演じたハルシャーリー・マルホートラが愛らしい。
時々ちょっとお転婆で、純真そのもの。
もう天使といってもいいぐらいの可愛らしさであった。
子どもをダシに使った底の浅い映画は観られたものではないのだが、これはよかった。
どれぐらい好かったかというと、子どもで泣かせる映画ベスト・ワンの「チャンプ」に匹敵するぐらい(笑)。

 

雑踏の中でそのシャヒーダーが出会ったのが、正直者でお人好しなパワン(サルマーン・カーン)。
おや、お嬢ちゃん(ムンニーちゃん)どうしたんだい? 迷子になったのかい?
ヒンドゥー教ハヌマーン神の信者であるパワンは、これも神の思し召しと思って、シャヒーダーを家に連れ帰る。

 

このパワン(周りから“バジュランギ”と呼ばれている)、彼女(カリーナ・カプール)の実家で暮らしている。
実はこの映画の前半は、パワンと彼女の恋物語が軸となっている。
ここではインド映画お約束の歌と踊りが堪能できる。

 

主役のサルマーン・カーンは、インド製本格的アクション諜報員ものの「タイガー」でも活躍していた。
やはり濃い顔立ちだなあ(苦笑)。
ヒロインのカリーナ・カプールは「きっと、うまくいく」に出ていた。
なぜか小林幸子を思い出してしまう顔立ち(苦笑)の人。

 

さて、これも知らなかったことなのだが、大部分のヒンドゥー教の人は肉も魚も食べないらしいのだ。
ところがシャヒ-ダーは野菜ばかりの食事を嫌がって、よその家で鶏肉料理を食べさせてもらったりする。
えっ、ムンニーはイスラム教なのかい?!

さらに、えっ、ムンニーはパキスタン人なのかい?!
なんということ、パワンとは宗教も国も違うではないか。それも対立している宗教と国だっ!

脚本も書いたカビール・カーン監督は、自身がムスリムの父とヒンドゥー教徒の母の間に生まれたとのこと。

 

このあたりはコメディ・タッチも入って、パワンは、あちゃ、といった感じでしばしば額を叩く仕草をする。
この仕草をおぼえたシャヒーダーが後半で、あちゃ、といった場面で真似をする。
もう、めちゃくちゃ可愛い(嬉)。

 

ここからパワンの無類の善人ぶりが発揮される。
よし、おじさんがムンニーをパキスタンの家まで送り届けてあげよう!
ということで、2時間半越えのこの長尺の映画の真ん中あたりになって、やっと旅立つことになる(笑)。
それからは基本的にはロード・ムーヴィーなのだが、生半可な旅ではない。

 

なにしろ、パスポートもビザもない。
どうやって国境を越えたらいいんだ?
難題である国境越え。さらに身分証明書も持っていないためにパキスタン警察からはスパイ容疑をかけられて追われる身になる。
大変なロード・ムーヴィーなのだ。

 

しかし、旅の途中で出会う人達がまた好いんだな。
追っ手からふたりを隠してくれるバスの運転手、何も言わずに寝るところを世話してくれるモスクの先生。
それぞれに味のある人達だった。こういった善意の人の姿にはじんとくる。
旅が過酷であるだけになおさらだ。

 

そして、始めはスクープを狙っていたのに途中からはふたりの旅の協力者になってくれたTVリポーター。
彼も、パワンの無償の愛の行為に打たれたのだろうな。

 

無事に家族の元へ帰れたシャーヒダーだったが、彼女を助けるためにパワンは警察に捕まってしまう。
スパイ容疑で拷問にかけられるパワン。
こんな好いことをしたのに、なんて理不尽な目に会わなければならないのだ・・・。

 

(以下、物語の最後へ)

 

TVレポーターがながしたSNSの映像で、パワンの行為にインド、パキスタン両国の人が心を動かされる。
そしてパワンは傷ついた身体で国境の川へやって来る。
向こう岸にはパワンの身を案じ続けていた彼女も待っている。

さあ、川を渉ってインドへ帰ろう。

 

そのとき、母親に連れられたシャヒーダーが到着する。
そして川を渉ろうとしていたパワンに向かって、話すことのできなかったシャヒーダーが、バシュランギっ!(おじさんっ!)と呼ぶのだ。

 

長い映画だが、社会的な問題点を背景にしながらも、歌と踊り、そしてコメディ要素で楽しく魅せてくれる。
そして、最後には思わず涙。
無償の愛と清々しい人間性、これが素直に好いなあと思わせてくれる。

 

インドとパキスタンの対立は根本的なものであったのだが、パワンにはそれを越えるほどの根源的な愛があったわけだ。
それだけの大きな愛がなければ、国や宗教の対立の壁は乗り越えられなかったのだ。
そこがこの映画の素晴らしさだ。

 

誰にでもお勧めできる映画でした。

 

「パドマーワト」 (2018年)

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2018年 インド 164分
監督:サンジャイ・リーラ・バンサーリー
出演:ディーピカー・パードゥコーン

伝説の美女史劇。 ★★★

 

時は13世紀末。
パドマーワト(ディーピカー・パードゥコーン)は、西インドの小国メーワールの王ラタンと恋に落ち、妃となる。
しかし、その美貌を聞きつけた北インドのアラーウッディーンは、彼女を奪おうと大群でメーワールに攻め入る。
アラーウッディーンはイスラム教国の皇帝スルタンの座を手に入れていたのだ。

 

ヒロインは、インド映画といえば絶世の美女がお約束だが、その中でも個人的にイチオシのディーピカー・パードゥコーン
「チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」という超駄作(笑)で初めて観たのだが、ヒロインのあまりの美しさに言葉を失ったものだった。
その後は「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」や「チェンマイ・エクスプレス」で観た。
なんと「トリプルX:再起動」にも出ていたのだよ。

 

さてそのパードゥコーンの美しさに比べられる男性陣は気の毒。
絶世の美女相手だから、彼女に愛されるのはやはり絶世の美男子でないとねえ。
その意味では、相思相愛の夫のラタン王よりは、悪役のアラーウッディーンの方が華があった。

 

インド映画なのでもちろん歌と踊りが入る。
そしてその中で一番格好良かったのはそのアラーウッディーン悪人軍団の踊り。
黒づくめの衣装で激しく狂気の恋心を踊る。いやあ、なかなか。

 

物語の筋は単純明快だった。
イスラム教国が大群で攻めてくるが、冷静なラタン王の戦略で失敗する。
すると卑怯な手を使っておびき寄せたラタン王を拉致してしまう。
王を返して欲しかったら、王妃がイスラム教国へ来い。来なければ王の命はないぞ。
なんて卑怯な奴なんだ。

 

大体がイスラム教国の悪王の奥さんもちゃんと美人なのだよ。
あれだけ美人の奥さんがいても男は満足できないものなのか。悲しい男の性?
しかし、その奥さんが協力していくれて王妃はラタン王を救い出すことができる。
よかった、よかった。

 

と思ったら、前にも増しての大群でイスラム教国はまた攻めてくる。
しつこい奴だな。
しかし、考えてみれば、アラーウッディーンは一度もパドマーワトに会っていない。
それなのにあれだけのご執心で彼女を得ようとした。
恋は盲目、というか、会ってもいないのだから恋でもなかったのか?(苦笑)

 

この戦闘場面もすごい映像だった。
高い城壁を攻めるために、イスラム教国軍は火を点けた大石を梃子利用の発射機で投げてくる。
う~ん、すごいね。
先日観た中国映画「グレイト・バトル」で敵が使っていたらどうだったんだろ?

 

(余談)
パドマーワトというのは、インドでは有名な伝説なのだろうか。
日本で言えば、静御前義経を偲んで「しずのをだまき」を舞ったぐらいによく知られているのだろうか。
実は、映画の冒頭にある注釈が入るのだが、それによって結末がある程度読めてしまうのだ。
インドではこの結末はだれでも知っているものなので、あの注釈を入れたのかとも考えたのだ。

 

ついでに言わずもがなのことをもう一つ。
パドマーワトがつけていた鼻ピアス。あれはどうも生理的に邪魔に見えた。
あんなものつけずに、ディーピカーの顔を見せてくれるだけで充分だったのに・・・。

 

それにしても、豪華絢爛な史劇絵巻だった。
衣装も豪華、戦争場面も大がかり、歌と踊りのおまけ付き、そしてそして絶世の美女。
インド映画を楽しく観るのに不足しているものは何もありません。

 

「マイ・ボディガード」 (2004年)

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2004年 アメリカ 146分
監督:トニー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、 ダコタ・ファニング

誘拐された少女を取り返せ。 ★★☆

 

元CIA特殊部隊にいたクリーシー(デンゼル・ワシントン)。
しかし、対テロ部隊の任務のためとはいえ、これまでおこなってきた暗殺業務のために心はすさんでいた。
そんな彼がメキシコ・シティに住む実業家の娘のボディガードを請け負うことになる。

 

南米では幼児の誘拐事件は日常茶飯事だという。
そのうえ、高額の身代金を払っても無事に戻る可能性はほとんど皆無だとのこと。怖ろしい国だ。
それではお金持ちはボディガードを雇うだろうなあ。

 

護衛対象は9歳のピタ(ダコタ・ファニング)。
まあ、ダコタ・ファニングが可愛い。こんな可愛い子に無邪気に信頼を寄せられたら、そりゃこの子のために、と思うだろうな。
ということで、前半はクリーシーが次第に心を開いて、ピタと微笑ましい関係を築いていく。

 

画面の彩度が強く、南米の空気感は出ていたが、やや見づらいものだった。
それにリドリー・スコット監督なので、やたらに画面が切り替わる。
忙しいなあ。

 

デンゼル・ワシントンはこの後の「イコライザー」でもそうだったが、半端ではないスキルを持っている役柄が多い。
そんなクリーシーだったが、必死に守ろうとしたのもむなしくピタが誘拐されてしまう。
おのれ、犯人を許さんぞっ!

 

ここからクリーシーの情け容赦のない復讐が始まる。
指を切断したり、尻に爆弾を仕掛けて爆発させる、コンビニだかなんだかも爆破してしまう。
もうやりたい放題。
こんなに俺は怒っているんだぞ。

 

クリストファー・ウォーケンミッキー・ロークといった個性派俳優が出ていたのだが、ほとんど韻書運起こらなかった。
何だか勿体ないなあ。

 

ツッコミをひとつ。
誘拐されたピタはもう殺されたって聞かされただけで、なにもその証拠は提示されていない。
それなのにクリーシーはキレまくっている。
観ている方は、ピタは絶対生きているよなあ、と思いながら観ている(苦笑)。

 

物語の締めくくりは、えっ、こんなことになるのか、というものだった。
後味はそれほどよくない。
原作小説があるとのことだったが、やはりこういう結末?

 

トニー・スコットの作品にしては物足りなさがあった。
期待値を上げすぎた?

 

「ゲットバック 絶体×絶命」 (2019年)

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2019年 ロシア 101分
監督:ロマン・プリグノフ

頭脳的(?)銀行強盗もの。 ★★☆

 

謳い文句は、ロシア版オーシャンズ11。
じゃあ、観てみようか。本邦未公開というところが、ちょっと引っかかる(苦笑)。

 

ロシアの大実業家のレビン。大金持ち。
どれぐらい大金持ちかというと、マンションで待っていた愛人に52時間待たせたからといって52万ドルをぽんと渡すぐらい。時給1万ドル。すごい。大金持ちだ。
その彼には、実は会ったこともない(訳ありの)17人の息子がいた。

 

画面は洗練されたセレブの生活を映して、お洒落っぽい。
全体の雰囲気もスマート。これは期待できるのかな・・・。

 

そのレビンだが、共同経営者が急に死んでしまい、その娘に共同経営していた大銀行を乗っ取られてしまう。一文無しで追い出されてしまう。
どうする? しかし、フランスの銀行の貸金庫に置いてある証明書を取り返せれば、銀行は私に戻ってくるぞ。
ということで、宿敵の娘によって封鎖されてしまっている銀行からその証明書を盗み出そうというもの。

 

レビンはこれまで会ったこともない17人の息子たちのなかから、協力者として4人を選び出す。
彼らがなかなかに個性的。
一人目はかなり真面目なハッカー。アカウントをのっとってどこにでもアクセスしてしまう。
二人目は工事現場の重機操作員。4人のなかでは一番目立たない存在。
三人目は拳銃オタク、格闘オタク。すぐにキレテ事を荒立ててしまうようなヤバイ奴。
四人目はインチキ宗教家。信者を騙すのが仕事だったから、とにかく口が上手い。
なかなかに魅力的な顔ぶれである。オーシャンズ・イレブンならぬ”レビンズ・ファイブ”である(笑)。

 

レビンたちは、目的の銀行強盗をおこなうための資金調達を実行する。
現金輸送車を襲撃するのだが、ここは要領のいい計画で上手く見せていた。

 

始めはぎくしゃくとしていたレビンと4人の息子だが、次第に意志疎通がとれていく。
そこへ今度はレビンの娘だという女の子が訪ねて来る。
もちろん敵が送り込んできたスパイなのだが、レビンは女の子には甘いのだ。

よしよし、お前も我々の仲間だ。

 

さて、肝心の銀行強盗。貸金庫に保管してある重要証明書を入手しなければならない。
そのためにレビンは生魚を使った臭気発生装置を貸金庫に預ける。
はたしてレビンはいったい何を企んでいるのか?

 

ここからが貸金庫の中身を巡っての大騒動になるのだが、実はここからこの映画の一番ダメだった部分が始まる。
もうレビンの計画のずさんなこと。
クレーン車を待機させてことに及ぶのだが、その役割は不明のまま。活用できていない。
結局は破れかぶれのドンパチとなってしまう。計画性ゼロ!

 

父親と、人工授精で生まれた4人の息子が絆を築いていくという展開は、まあ判りやすい。
それに登場人物のキャラもそれなりにたっている。
しかし、脚本がなんともお粗末だった。
表面的な面白さはあるのだが、それ以上の深みはまったくなかった。

 

休日の午後に地上波で放送でもしていたら、ごろんと横になって観るにはいいかもしれません。
決して過大な期待をしないで観ましょう。

 

「フィクサー」 (2007年)

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2007年 アメリカ 120分
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー、 トム・ウィルキンソン、 ティルダ・スウィントン

企業弁護士もの。 ★★☆

 

フィクサーというと、日本では政界の裏で暗躍する腹黒い奴、というイメージが強い。
ところがアメリカでは、公にはできない案件をもみ消す弁護士のことを指すようだ。
だいぶイメージが違うなあ。

 

監督・脚本はトニー・ギルロイ
最初のボーン・シリーズ3作の脚本を書き、「ボーン・レガシー」では監督もしていた。
物語を作るのは得意なわけで、本作も最後までよく練られた脚本だった。
(しかし、練られすぎてちょっともたついたり、意味不明なところも・・・汗)

 

マイケルは大手法律事務所に所属する遣り手弁護士。
その役割はあまり公には出来ない案件を秘密裏に処理するもみ消し屋(フィクサー)だった。
そんな彼は、私生活では従兄弟の多額の借金を肩代わりする羽目に陥っていた。
仕事も、自分の生活も大変だなあ。なんとかしたいなあ。

 

マイケルの所属する事務所は、3000億円の集団訴訟を起こされた大企業の弁護を引き受けている。
しかし、案件を担当していた同僚弁護士が突如奇行に走り、その対応にマイケルも巻き込まれていく。
大企業側は裁判に負けないために、本部長のカレン(ティルダ・スウィントン)がありとあらゆる手を打ってくる。

 

この映画、後半になると面白くなるのだが、正直なところ、前半はやや冗長だった。
意味不明だったところもあった。
マイケルの息子が「王国と征服」というファンタジーを大切に読んでおり、死んでいく同僚の部屋にもその本が残されていたのだが、この意味は判らなかった。
それに、マイケルが車に仕掛けられた爆薬から逃れられたのは、偶然に見かけた三匹の馬のおかげなのだが、これは何かを暗示していたのだろうか?

 

同僚弁護士はなぜ奇行に走ったのか。
裁かれる案件の真実はどうだったのか。
身の危険に晒されながら、マイケルは裁判の重要証拠を掴もうとする。

 

しかし、大企業側も暗躍する。
そして、クライマックスではマイケルとカレンが対決する。
この対決場面が最大の見せ場だった。
ギルロイ監督はここを見せたくて脚本を書いたのではないかと思えるほど。

 

ティルダ・スウィントンは本作でアカデミー賞助演女優賞を受賞しています。
プレゼンの前に必死に一人で練習をするカレンの姿など、納得の存在感でした。