監督:ブレイク・エドワーズ
出演:ピーター・セラーズ、 エルケ・ソマー
「ピンクの豹」のクルーゾー警部もの第2弾。 ★★☆
アメリカ映画なのだが、どうみてもフランス映画っぽい洒落たコメディ。タイトル場面のアニメもとてもセンスがよい。
導入部で、邸宅のいろいろな部屋に入れ替わり立ち替わり男女が行き来する様が描かれる。この場面は最後につながっていくのだが、そこにながれるヘンリー・マンシーニの主題曲がいい。あの名曲「シャレード」と似た雰囲気を持っている。
大富豪の邸宅で運転手が殺され、ピストルを持っていたメイド(エルケ・ソマー)が逮捕される。
しかし、彼女に一目惚れしたパリ警察のクルーゾー警部(ピーター・セラーズ)は、美人は犯人ではあり得ない、と確信してしまう。
40年以上も前の映画なので、ギャグには今となってはかなりイタイものもあるが、全体としてどこかとぼけていて、罪のない無邪気な雰囲気が漂っている。
釈放された彼女の行く先々では、あっと言うほど次々に人が殺される。しかし、悲惨なイメージは全くなく、あら、また人が死んでいる、という軽いノリ。
変装したクルーゾーはいろいろな珍妙な尾行をして、そのたびに警察に逮捕されてしまったりと、お約束のギャグは楽しい。
ヌーディスト・クラブでのどたばた劇もほのぼのとしている。
名(迷)探偵が謎解きをするという最後には、愛の連鎖騒動が明らかとなって導入部につながっていく。
今観ればちょっとずれたテンポだが、たわいなく楽しめる佳作。
クルーゾーの部下がエルキュールという名前なのは、アガサ・クリスティ女史のポワロからきているのだろうか。