1975年 フランス 109分
監督:アラン・ロブグリエ
出演:アニセー・アルヴィナ、 ジャン・ルイ・トランティニヤン、 フィリップノワレ、 シルビア・クリステル
セクシャル・ファンタジー。 ★★☆
娘カロリナ(アニセー・アルビナ)との肉体関係を妄想している父(フィリップ・ノワレ)。
そんな娘は誘拐されて隠微な館に軟禁されてしまう。
その館のたくさんの部屋では、妖しげな薬で意識も虚ろな娘たちが淫らな姿態をさらけだしていた。
こう書くと大変にエロティックな映画かと思われそうだが、それほどエロティックというわけでもない。
娘たちの裸体は熟れる前の果実のようで、どちらかといえば初々しい。
イヤらしいというよりも、フランス絵画に描かれた美少女の裸体像のようなのだ。
それにどこかコメディ・タッチでもある。
たとえば、秘密組織の娘誘拐の手口にしても可笑しい。
山道で犬で追い掛け回し挙げ句に睡眠薬を注射したりするのはまっとうな方。
駅で誘拐した娘はトランクに詰め込み、中身はペットだと駅員に嘘をついて運び出したり・・・。
やがては、真っ昼間の街中で投網で娘を捉えたり・・・。
結婚式の真っ最中の教会からウエディングドレス姿の花嫁を拉致したり・・・。
どこまでが現実に起こっていることで、どこが妄想なのか、混然としている。
もしかすれば、全てが父親や、ヒロインの娘の妄想なのかもしれない。
映画全体が性的な夢物語のようなのだ。
見終わってから脚本も監督もアラン・ロブグリエであることを知った。
ああ、そうだったのか。
部屋の扉がいくつも並ぶ広大な屋敷の回廊をヒロインが巡ったりするところは、あの「去年、マリエンバートで」の雰囲気だったのだ。なるほど。
ジャン・ルイ・トランティニヤンが館の主のような役どころ。
真面目な顔をして、どこか憎めない演技を見せてくれる。
観る人を選ぶ映画でしょう。
おお、ロブグリエではないかと喜ぶ人も少なからずいる?