あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「戦争と平和」全4部 (1965年)

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1965年 ソ連 全4部427分
監督:セルゲイ・ボンダルチェク
出演:セルゲイ・ボンダルチェク、 リュドミラ・サベリーエワ

文芸超大作。 ★★★☆

 

誰でもその名は知っているトルストイの長編「戦争と平和」。
それを旧ソ連が国家を上げて映画化したもの。全4部作で6時間半を超す超大作である。

この映画の10年前の1956年には、ヘンリー・フォンダオードリー・ヘップバーン主演でアメリカ版「戦争と平和」が撮られている。
こちらは208分で、やはりその長さでは物語のダイジェスト版という印象の映画だった。

 

さて。
第1部「アンドレイ・ボルコンスキー」(147分)は、1805年が舞台。貴族たちのペテルブルクでの華やかな社交界があり、ナポレオンの侵攻によるアウステルリッツの戦いが描かれる。
第2部「ナターシャ・ロストワ」(100分)は、1810年となり、ヒロインのナターシャ(リュドミラ・サベリーエワ)の恋が描かれる。
第3部「 1812年」(84分)は、この作品の最大の見せ場であるボロジノの戦い。
とにかく、これでもかというような人海戦術の圧倒的な迫力で描かれる。
第4部「ピエール・ベズーホフ」(96分)では、この作品を通しての主役であるピエール(セルゲイ・ボンダルチェク)とナターシャのその後である。

 

有名な物語なのだがその長さに恐れをなして、原作は未読。
ただ、その物語の概要はいろいろな折にふれて知ってはいた。
3人の主な登場人物についても、その人間関係も知っていた。

 

あらためて映画で鑑賞すると、登場人物についてはどうも納得できない部分もあった。
だいたいが、ヒロインのナターシャがその若さ故か、考えなしでわがまま。ジコチュウもいいところ。
アンドレイと相思相愛で婚約をするナターシャ。ああ、なんてわたしは幸せなのでしょう。
しかしナターシャがまだ若すぎるというので、結婚は2年先になる。ああ、この恋心はとてもそんなに待てないわ。
と言いながら、奥さんのいるプレイボーイの甘言に簡単に落ちてしまう。
彼(プレイボーイ、ね)と一緒になれないのだったら、わたしはもう死ぬわ。
おいおい、もう勝手にしてくれよ。

 

もう一人の主役であるピエールも、どうももう一つ感情移入できなかった。
だいたいが、戦場をこの目で確認したい、といった興味本位(!)でわざわざ出かけるか。
それも白い上等そうな上着ズボンに山高帽といった、とんと危機意識のない服装で。
周りの兵隊は泥だらけで傷ついてどんどん死んでいっているというのに。

 

このピエールは、妾腹ながら公爵位を継いだものだからお金には困らない貴族の生活をしている。
そんな貴族の平和な生活が脅かされるといっても、それは庶民の戦争の上に成り立っているのだ。
一番まともだったのは、ちゃんと悩んで死んでいったアンドレイだったかな。

 

しかし、これらは原作を書いたトルストイの責任だから、出来上がった映画の責任ではない(苦笑)。

 

ピエール役はボンダルチェク監督自身が演じていた。
そのボンダルチェクが誰かに似ているなと思っていたのだが、顔つきといい、雰囲気といい、三谷幸喜だった(笑)。
そのピエールの妻エレン(お金目当てでピエールと結婚して、浮気もする悪妻)を演じたイリーナ・スコブツェワは、ボンダルチュクの奥さんだった。

 

ナターシャ役のリュドミラ・サベーリエワは大勢の候補者から選ばれ、17歳から21歳までの4年間撮影に入っていたとのこと。
たしかに映画でも、最初に登場する場面では少女っぽい。
それが第4部の頃になると、もう美しい一人の女性に成長していた。
リュドミラといえば、その語の映画では「ひまわり」でマストロヤンニのソ連での奥さん役が印象的だった。

 

この映画の売りである戦闘シーンにはソ連が国を挙げて協力したとのこと。
馬を約1,500頭、合計12万4,533人に及んだエキストラやスタントはソ連軍の兵士を動員している。
制作費も「クレオパトラ」に次いで史上2番目らしいのだが、ソ連の国を挙げての協力を考えれば実際には途方もない制作費だろう。
CGも何もない時代に、この人海戦術は圧倒的である。
それに舞踏会の豪華絢爛さも、この場面を撮るだけでいくらかかったのだろうと思ってしまうほどだった。

 

文芸超大作の名に恥じない映画です。一度は観ておいてよいでしょう。
アカデミー賞ゴールデングローブ賞でそれぞれ外国語映画賞を取っています。