2019年 アメリカ 138分
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:パトリック・ウィルソン、 ウッディ・ハレルソン、 豊川悦司
太平洋戦争もの。 ★★☆
なにっ、壊し屋ローランド・エメリッヒ監督が戦争映画を撮る?
となれば、ほとんどの人はどんな映像を見せてくれるのだろうかということに関心が向いたのではないだろうか。
逆に言えば、エメリッヒ監督にはそれ以外のことはあまり期待していないよ、と。
しかし、意外なことに、ちゃんと作られた戦争映画だった(苦笑)。
1941年12月7日、日本軍は真珠湾攻撃をおこなう。
この場面は、奇襲される側から見ればこうなるのかとあらためて思った。
これまでの映画では「パールハーバー」があったが、あの映画はケイト・ベッキンセール以外には見るべきものはなかった(汗)。
この映画は、アメリカ軍をただ英雄視して描くのではなく、日本の立場もそれなりに描いていた。
連合艦隊司令官の山本五十六(豊川悦司)なども、見識ある人物像としていた。
だからアメリカから見た太平洋戦争ものなのだが、むやみに不快になることはなかった。
日本軍の真珠湾攻撃で打撃を受けたアメリカ軍は、太平洋艦隊司令長官にニミッツ提督を任命する。
彼は戦局を打開するべく、日本軍の暗号を解読させ、日本の戦略を分析させる。
そして日本軍がミッドウェイを攻めてくると予測する。
いよいよクライマックスとなるミッドウェイ。
ミッドウェイ海戦についてはそれこそ中学生の頃から戦記物でその概要についてはよく知っていた。
個人的には、南雲中将の判断ミスが大きな敗因だったのではないかと思っている。
彼が有名な5分間の換装のロスを生み出す判断をしてしまうのだ。
このあたりの、対地爆弾と対艦爆弾の違い、どちらを艦載機に抱かせるかの瞬時の判断の重要さ、をもっと伝わるようにして欲しかった。
映像はさすがに素晴らしいものだった。
しかし脚本にはこれと言って目新しい視点はなかった。
というか、日米双方の戦略の食い違いをもっとしっかりと描くべきだったろうと思うのだ。
エメリッヒ監督はどうしてわざわざこの映画を撮ろうと思ったのだろう?
彼なら何度となく映画化されたこの題材に拘る必要はなかったように思うのだが・・・。