2018年 イタリア 102分
監督:ステファノ・モルディーニ
出演:リッカルド・スカマルチョ、 ミリアム・レオーネ
推理サスペンス。 ★★★☆
山頂にあるホテルの一室で、美人カメラマンのラウラ(ミリアム・レオーネ)が撲殺される。
容疑者はその部屋で逢い引きをしていた実業家のドリア(リッカルド・スカマルチョ)。
今はもう逮捕を待つばかりのドリアのもとに、敏腕だといわれている女性弁護士がやってくる。
私に任せなさい、私は敗訴したことがありません。その代わり正直に全部話してくださいよ。
事前情報もないままに、それほど期待もせずに観たのだが、これは・・・!
殺人事件の容疑者の供述、そして彼を弁護するために供述を問い質す女性弁護士。
一室での会話劇を軸に、回想場面が絡み合う。
大変に面白い。もうけものの映画だった。
実はラウラが殺される事件の数か月前にもう一つの事件があったのだ。
渋っていたドリアは、やがてその事件のことを話し始める。
ドリアとラウラは、逢い引きの帰りの林道で飛び出した鹿を避けようとして対向車と事故を起こしてしまう。
二人は無事だったのだが、対向車の若い男は即死状態だった。ありゃあ。
ドリアは警察に通報しようとしたのだが、ラウラは自分たちの保身のために事故を隠蔽しましょうと言う。誰も見ていないわ。
警察への通報はなしよ。遺体と車を何処かで処分してきてちょうだい。
基本は会話劇なのだが、ドリアの話の回想場面がちょうどいい具合に挿入される。
しかしそれはドリアの供述の映像なのだ。
彼は本当のことを話しているのか? どこまでが本当のことなのかは判らないぞ。
聞き手の弁護士は、ドリアが嘘をついていないかどうか、チェックする。
観ている我々はどこまで信じていればいい?
やり手弁護士はつじつまの合わない点をするどく指摘する。
ドリアは渋々嘘をついた点を認める。うん、ああ言ったけれど、実はこうだったんだ。
回想場面が修正されて映される・・・。
あれ、本当はこうだったのか・・・。
事故で死んだ若い男の両親が、意外なところから絡んでくる。
これには戦慄。
悪いことってしてはいけないんだ、神様はみんな知っているんだ、と思わず口ずさんでしまいそう。
そしてその事故を隠蔽しようとしたばかりに、次々に大きな嘘をつかなくてはならなくなり、偶然の目撃者からは大金を要求されたり・・・。
最初の事故でも、最後まで隠しておきたかったことがドリアにはあった。
それをするどく指摘する女弁護士。
その事故の隠蔽がついにラウラ殺しの真相に結びついていく。
スペイン映画のリメイクだったとのこと。
オリジナルは当然知らないのだが、やはりリメイクされる物語というのは脚本がしっかりしているのだろう。
(以下、ネタバレ)
どんでん返しが見事!という評価が多いこの作品。
途中から、どうもこの人物はなにか怪しいぞと私も思いながら観ていたのだが、まさか、そこまでとは思わなかった。
最後の”ミッション・インポッシブル”には呆気にとれてしまった。
おいおい、そうきたか!
そこまでこなくても充分に面白かったけれど、そうきたか! やられたよ。
サスペンス好きな方にはお勧めの1本です。