あきりんの映画生活

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「タクシードライバー」 (1976年)

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1976年 アメリカ 114分
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、 ジョディ・フォスター

病める大都会の夜。 ★★★

 

ラヴィスロバート・デ・ニーロ)は、ベトナム戦争帰りの元海兵隊員。
戦争体験によっての不眠症に悩まされていた彼は、タクシードライバーとなって夜のマンハッタンを走り続ける。
そこは麻薬と性欲によって汚染された街だった。

 

ジャズの雰囲気たっぷりの音楽が好い。
トム・スコットのアルト・サックスが夜の大都会に染み込んでいく。
作曲はヒッチコック映画の音楽をいくつも手がけたバーナード・ハーマン
この映画のサントラCDは愛聴盤の一つである。

 

社交性にも欠けたトラヴィスは見そめた彼女に強引に、しかしぎごちなく近づいていく。
しかし、最初のデートで、彼女と一緒にポルノ映画を見に行くかよ(呆気)。
しかも彼女がそのことに怒り始める理由がトラヴィスには判らないのだ。
おいおい、どこまで病んでいるんだ・・・。

 

画面がざらついているように捉えられる夜の街が美しい。
降りしきる雨を間断なく払うワイパー。
どぎつい電飾に飾られた街の風景が雨に滲んで、猥雑な雰囲気を伝えてくる。

 

ロバート・デ・ニーロは代表作といえる映画を何本も持っている。
しかしこの映画はそれらのなかでも彼の存在感がひときわ光っている。
大統領候補を暗殺しようとして演説会場に現れたときの彼の出で立ちは、モヒカン刈り。
そりゃ警備員に制止されるほどに異様で、狂気ぶりが際立っていた。

 

そしてこの映画で刮目したのはジョディ・フォスター
14歳の彼女は、幼い娼婦という役をコケティッシュに演じていた。
すごい役者ぶりだった。

 

この、どこまでも暗く閉塞感に満ちた大都会の夜は、主人公の心の中にも広がっていたのだろう。
社会に対する怒り、そして大都会の中での孤独感。
重い余韻を残す作品だった。さすがスコセッシ監督。

 

アメリカン・ニューシネマの代表作のひとつとされる。
カンヌ映画祭パルムドール賞をとっています。