2023年 インド 146分
監督:シッダールト・アーナンド
出演:シャー・ルク・カーン、 ディーピカー・パードゥコーン
インド製アクション巨編。 ★★★★
インド製のアクション映画といえば、かつてはコミカル風味のものが大部分だった。
リズミカルな音楽にのって主人公達は軽快に動き回る。
いってみればジャッキー・チェン風のコミカル・アクションを少しぬるくしたような感じだった。
しかし、近年のものはまったく違う。ハリウッドばりにすっかり本格的になった。
本作もばりばりのアクションを見せてくれる。
主人公パターン(シャー・ルク・カーン)は、インド諜報機関のRAWのメンバー。
そして敵はパキスタンと手を組んだ元インド軍人のジム。彼は生物兵器によるテロを仕掛けてくるぞ。
まあ、とにかく2時間半近い長尺ながら、飽きさせない。
アクションに次ぐアクション。ヘリコプター・ダイブはあるわ、氷上バイク・チェイスはあるわ、何でもあり。
爆破された鉄橋から落下していく列車から飛び移ったり、すごいよ。
ここであれ?と思った方・・・、そうなのだ、この映画、絶対に「ミッション・インポッシブル」を意識していると思うよ。
というか、これ、完全に真似してるやろ、といえなくもない場面もあるほど。
そんなことまで臆面もなくやってしまうところが、インド映画らしいと(好意的に)言っておこうか(汗)。
「ミッション・インポッシブル」はトム・クルーズがどこまでもおのれの肉体を張って演技していることを売りにしているのだが、本作ではばんばんとVFXを駆使している。
しかし、だからといって作り物っぽさが興をそぐということはなかった。
かえって荒唐無稽さをこれでもかと見せてくれていた。
主人公のパターンに扮するのはシャー・ルク・カーン。
私が勝手に”インドの岡田准一”と呼んでいるご贔屓俳優。
そして本作で嬉しいのは、ヒロイン役がディーピカー・パードゥコーンであること。
私のお気に入りNo.1だったアンジーがほぼ引退に近い状態になってしまった今、その座を引き継ぐのは彼女しかいないのだっ!
彼女のデビュー作は、やはりシャー・ルク・カーンと共演した「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」だった。
このときパードゥコーンは21歳。初めて彼女を観た時に、こんなに美しい女性が本当にこの世にいるのかっ! と叫んでしまったほど。
そして今作では30歳代半ばとなっている。初々しい美しさから成熟した美しさへと変わってきている。
途中でパターンを助けにあらわれるのは、おや、タイガー(サルマーン・カーン)ではないか。
アクション映画「タイガー」の主人公なのだが、二人は同じ諜報機関に属しているという設定らしいのだ。
これはインド映画愛好家に嬉しい設定だった。
くり返しになるが、ディーピカー・パードゥコーン!
彼女が重機関銃をぶっ放し、超高層ビルの壁面を命綱を頼りに垂直によじ上り、艶然とパターンを裏切ったり好い仲になったりすれば、もうそれだけで星の数も上がろうというもの。
もし、未だ彼女の映画を観たことがない殿方がいたら、ぜひ観て欲しい。
映画の最後に、それまで控えめだったインド映画お約束の群舞場面が入る。
カーンとパードゥコーンが中央に並んでリズミカルに踊りまくってくれる。
華やかに楽しい。もう、最高!