あきりんの映画生活

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「ファイナル・ソルジャー」 (2005年) 侵略する人たち、侵略される人たち

2005年 ニュージーランド 113分  
監督:ビンセント・ウォード
出演:サマンサ・モートン、 クリフ・カーティス、 キーファー・サザーランド

異文化のはざまで揺れる女性のドラマ。 ★★☆

 

舞台は1860年代のニュージーランド
当時は先住民マオリ族と侵略してきたイギリス軍の争いが烈しかったようだ。

そんな時代にサラ(サマンサ・モートン)は、マオリ族の男に恋をしたのだが、その彼は死んでしまう。
すでに身ごもっていた彼女は、父親に反対されながらも男の子を産む。
そして数年後、その息子は祖父(サラから見れば義父)の族長に連れ去られてしまう。

 

”ファイナル・ソルジャー”などという邦題とはかけ離れた内容である。
宣伝ではキーファー・サザーランドの名が大きく出たりしていたが(ポスターでも)、彼はイギリス軍の兵士でサラに秘かに想いを寄せている役どころだった。
はっきり言って脇役。ドラマ「24」で有名になった彼の名前で客を集めようとしたのだろうな。

 

原題は「河の女王」。
そう、これは先住民の恋人との間の子を産んだ一人の女性の物語なのだ。
息子を取りかえそうと、サラは先住民(クリフ・カーティス 彼は実際にマオリ属の血を引いているとのこと)の協力を得て、密林の奥深くへ入っていく。

 

密林にはイギリス軍が鎮圧目的で攻めてくる。
サラが探し当てた息子は、マオリ族の一員として戦闘に参加していた。
息子をイギリス人社会に連れ戻そうとするサラ。あらがう息子。

 

サマンサ・モートンはきれいだし、熱演している。
しかし彼女が演じるサラという人間像はよく判らないところがある。
クリフ・カーティスとサザーランドの二人に想いを寄せられ、どっちつかず。お前、どちらが好きなんだよ、と言いたくなる。

 

マオリ族では、入れ墨を入れることはアイデンティティの確認のような意味合いがあるようだ。
映画の終わり近く、サラは自分の顔に入れ墨を彫ってもらう。
マオリ族の息子の母として生きていくことを選び取ったのだった。

 

厳しく衝突する二つの社会の狭間におかれた母子の物語だった。
真面目に作られているのはよく判るのだが、いささか捉え方がぶれていたかな。