2000年 アメリカ 116分
監督:ジョナサン・モストウ
出演:マシュー・マコノヒー、 ハーヴェイ・カイテル
第二次世界大戦の潜水艦もの。 ★★★
潜水艦ものにハズレなし。これは名言である。この映画も好い出来だった。
(ただしこれまでに超ハズレの潜水艦ものを一つだけ観たことがある。老婆心ながら被害者をださないためにタイトルを挙げておくと、「U・ボート/オペレーション・シーウルフ」という映画である。間違ってもこれは観ないように(汗))
ドイツの潜水艦U-571は戦闘により潜航が不能になってしまう。
そこで救出信号を発信したのだが、これをアメリカ軍に傍受されてしまう。
喜んだのはアメリカ軍。よし、これはU-571に積まれている暗号機器"エニグマ”を手に入れるチャンスだ。
ドイツ軍に化けて接近してエニグマを確保せよ。そしてU-571は事故で沈んだように見せかけろ。
という極秘命令を受けて、老朽艦であるアメリカ軍潜水艦S-33が出航する。
その艦には、まだ人間的に未熟だということで艦長昇進が見送られている副長(マシュー・マコノヒー)も乗っていた。
ここに登場するエニグマというのは結構有名な暗号機(これの解読を題材にした映画もあった)。
これを入手出来れば戦局は劇的に変化するぞ。
大事な点は、暗号を変えられないように、我々(アメリカ軍)がエニグマを入手したことをドイツに気づかれないことだぞ。
ということで、これは、ドイツ軍に知られないようにエニグマ奪取が成功するのかという戦争アクション映画。
そこに、一人前になりきれていない副長が必死のミッションをやり遂げていくうちに成長していく物語が組み合わされている。
人間ドラマを絡ませたことで、単調になりがちな戦争アクションものが深みを持っていた。
ドイツ兵を装った副長たちはU-571に乗り込み、艦を制圧する。そして見事にエニグマを手に入れる。
ところが、なんと乗ってきた自分たちの潜水艦S-33が敵の攻撃を受けて沈没してしまった!
艦長たちも死んでしまった!
えっ、俺たちはどうやってイギリスに帰ればいいんだ? どうする?
ここから副長を中心にした生き残り乗組員たちの奮戦が始まる。
乗っ取った敵潜水艦U-571でなんとかイギリスの港へたどり着かなくては。
しかし敵駆逐艦が迫ってきたぞ。
潜水艦ものの面白さは、周囲の状況をかすかな音だけを頼りに行動を決定していく緊迫感にある。
そして圧潰深度へまで潜行しなければならない状況とか、いかに敵の動きの裏をかいて魚雷発射位置に自鑑をもっていくかといった作戦とか。
この作品もそういった潜水艦ものの面白さを充分に持っていた。
さらに、未熟だった副長がやむを得ず艦を指揮しているうちに成長していくという側面も見せてくれた。
マコノヒーの、どこかにおびえを必死に我慢しているような真剣な表情がよかった。
副長をサポートするチーフ役にハーヴェイ・カイテル。
これが好演。厳しくも暖かく息子を見守る親父のような雰囲気で、とても好い。
まだまだ青臭く度胸にも欠けていた副長を励まし、支える。
ハーヴェイ、本当によい役者だな。
ひとつツッコミを。
クライマックスで、残っていた魚雷一発で敵駆逐艦を見事に撃破するのだが、嘘だろ、そんなに上手くいくものか!
あの大爆発はたまたま火薬庫にでも命中したということだったのだろうか(苦笑)。
それはさておき。
潜水艦ものにハズレなしを実証してくれた作品でした。
未見の潜水艦フリークの方(そんな人はいないか 苦笑)、ぜひどうぞ。