2008年 136分 アメリカ
監督:エドワード・ズウィック
出演:ダニエル・クレイグ、 リーヴ・シュレイバー
生き延びたユダヤの人々。 ★★★
タイトルは「果敢な抵抗」という意味。
その言葉通りにナチスの暴虐に屈しなかったユダヤ人3兄弟の話である。
実話に基づいているとのこと。こんな人たちがいたことは知らなかった・・・。
1941年にドイツ軍はベラルーシを占拠し、ナチス親衛隊と地元警察がユダヤ人狩りを始める。
両親を殺されたユダヤ人のビエルスキ3兄弟は、復讐を胸にベラルーシの森へと逃げ込む。
やがて彼らのもとには、同じようにナチスから逃げてきたユダヤ人たちが集まり始める。
長男のトゥビアはきまじめで困っている人たちを見捨ててはおけない性格。
とにかく皆で生き延びることが何よりも大事だ、と統率していくトゥビア。
食料や武器を調達し、弱者たちを守りながら共同体を築いていく。
そんなトゥビア役にダニエル・クレイグ。彼は自己規制の塊の様な雰囲気を出していて好演だった。
(007役のときでも、それまでのボンドとは異なり、クレイグ・ボンドは浮ついたところがなかったな)
彼らは奪った銃を手にしてドイツ軍への抵抗を始める。
しかし次男のブシュ(リーヴ・シュレイバー)はトゥビアのやり方は生ぬるいとして、仲間数人と一緒に同じ地域で活動していた赤軍パルチザン(ソ連軍)に参加する。
トゥビア達のところへはどんどんと行き場を失ったユダヤ人達が集まってくる。
木を組み、屋根を張り、雨を凌ぐ住居を作り、近くの村から食料を調達し。
しかし、あれだけの大所帯になれば、争いごとも起きる。
なかでも不足しがちな食料問題は生命に直結する重大問題である。
トゥビアは、集団の掟として、自分では食料を調達できない弱者にも公平に分け与えようとする。
しかし、食料を調達してくる屈強な者たちが、これは俺たちが持ち帰った食料だ、優先的に沢山もらうのは当然だ、と言い始める。
彼らの言い分も判らないではない。しかしそれを許せば共同体は崩壊してしまう。
彼らと対峙するトゥビアを周りの人たちが不安なまなざしで見つめている。
トゥビアはどうする?
トゥビアは問答無用に彼らの首領格の男を銃で撃ち殺すのだ。
そうか、統率するものはすべての責任を負って事を判断しなければならないのだな。
ナチスの攻撃から逃れるために、彼らは大集団で広大な沼地を越えて逃げる場面がある。
脱落しそうになる弱者を励まして、何とか逃れようとする彼ら。
ここはモーゼの出エジプト記を思わせるような場面だった。
彼らのキャンプでは親しくなる男女も当然あらわれる。
トゥビアもずっと彼を支えてくれたリルカと男女の仲になる。
明日の命が誰にも判からない日々が続くだけに、真剣な恋になるよなあ。
こうして彼らはナチスが崩壊するまで森に隠れ住み、病院や学校設備まで整えていたとのこと。
そして1200人のユダヤ人が生き延びたのだ。
内容は大変に重いものだが、それをドキュメンタリー風に捉えて、見事に映画化していた。
最後に登場人物たちのその後がテロップで示された。ズシュはアメリカに移り住み事業を興したとのこと。
トゥビアとリルカもアメリカに渡って長く生き、生涯を共にしたとのこと。好かったね。