あきりんの映画生活

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「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」 (1985年) 渋い親父とすかした若者のダンディズム

1985年 134分 アメリカ 
監督:マイケル・チミノ
出演:ミッキー・ローク、 ジョン・ローン、 アリアーヌ

警察とチャイニーズ・マフィアの争い。 ★★★

 

原題を直訳すれば「辰年」。要するにこれこそ今年の映画。
ということで今年最初の鑑賞作品に。

 

ニューヨーク市警の刑事スタンリー(ミッキー・ローク)はやり手刑事なのだが、型破り。
上司の制止なども振り切って自分の信念で行動するタイプ。
熱いぞ。見境いもなく暴走するぞ。
そんな彼がチャイナタウンの犯罪組織壊滅に乗り出す。

 

そのチャイニーズ・マフィアでのし上がってきたのが若い幹部のジョーイ(ジョン・ローン)。
邪魔になる長老達を対立組織の仕業に見せかけて次々に粛正してしまうという荒技ぶり。
今やチャイナタウンのボスに成り上がった。
冷静沈着。涼しい顔で容赦ない殺戮をするような人物。
彼がスタンリーと正面からぶつかり合うわけだ。

 

年代的にいつ頃のチャイナタウンなのかは知らないのだが、雰囲気は大変によい。
ごみごみとしていて猥雑で、ホールではチャイナドレスの女性が中国歌謡を歌っている。
そんなうわべだけの華やかさの影で中国マフィアの勢力争いがあり、警察とのどろどろとした争いがある。

 

何と言ってもミッキー・ロークが格好いい。
彼はこの映画での姿が一番格好いいのではないだろうか。
深めにかぶったソフト帽、茶色系のスーツに長いマフラー(巻いたりはしないでただ首にかけて垂らしている)、そしてロングコート。
どこかの国の副総理大臣(!)じゃなくても真似をしたくなるというもの(汗)。
それぐらい格好いい。

 

対抗するジョン・ローンもまた格好いいのである。
ミッキーが渋い悪親父風で決めれば、ジョンはすかした生意気若者風で決めている。
なんでも映画公開時には若い女性の噂を独り占めしたとのこと。
後の最後の清朝皇帝になる人物はとても思えないぐらいに、彼も格好いいのである。

 

物語そのものは、有り体に言ってそれほどのものではない。
チャイニーズ・マフィアとニューヨーク市警の硬骨漢の対決もの、と言えばほぼ想像がついてしまう代物。

 

スタンリーの背景として、奥さんとの私生活がうまくいっていないエピソードも挟まれるが、それほど効果的でもなかった。
麻薬密輸の勢力争いで、ジョーイが東南アジアまで出かけてあくどいことを仕掛けるエピソードもある。
まあ、少し物語に変化を持たせた、というところか。

 

しかし、しかしである。この映画はそんな細かいことはさておいて、格好いいのである。雰囲気も好いのである。
最後は夜の埠頭でのスタンリーとジョーイの対決となる。
男と男がぶつかり合い、追いかけ追われ、撃ち合い、殴り合いをくり広げる。

 

出来としてはそれほど深いものはないのだが、とにかく男のダンディズムと、サスペンス小説に描かれるような一時代のチャイナタウンの雰囲気を、ゆっくりと堪能する映画だった。