あきりんの映画生活

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「モンタナの風に抱かれて」 (1998年)ただ静かに待って、相手を受け容れること 

1998年 167分 アメリカ 
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ロバート・レッドフォード、 スカーレット・ヨハンソン、 クリスティン・スコット・トーマス

大自然の中での癒やしドラマ。 ★★★☆

 

雄大なモンタナの牧場を舞台にした癒やしの人間ドラマ。
モンタナはアメリカの北西の方にあり、地名の由来が”マウンテン”から来ているように、山岳も多いとのこと。
原題を直訳すると、「 馬にささやく者」といったところか。

 

13歳の少女グレース(スカーレット・ヨハンソン)は乗馬中に事故に巻き込まれる。
親友は亡くなり、自身も右足切断という事態になる。また愛馬のピルグリムも事故以来は人間になつかない暴れ馬になっていた。
人生に絶望し、心を閉ざすグレース。無理もないよなあ。

 

母のアニー(クリスティン・スコット・トーマス)は、娘の心を回復させるにはピルグリムの全快が必要だと考える。
そして傷ついた馬の治療をしているトム・ブッカー(ロバート・レッドフォード)のことを知る。
アニーはピルグラムをトレーラーに乗せ、はるばるニューヨークからモンタナまでグレースとともに訪ねる。

 

クリスティン・スコット・トーマスは、これまで観た映画ではちょっと意地悪な、お高くとまった嫌な感じの貴婦人、といったイメージだった。
ところがこの映画ではまったく違った。
はじめこそ強引で高飛車な感じもあったのだが、大自然の中でトムと触れあっていくうちに柔らかい好い人になっていくのである。
それにこれまではきつい顔立ちだと思っていたのだが、よく見るとかなりの美人だった(苦笑)。

 

スカー レット・ヨハンソンは、この映画の撮影時は12~13歳。
大変にしっかりとした演技をしていて、さすがと思わせる。この映画で注目されたとのことだが、それも宜なるかな
そういえば、ショーン・コネリーの「理由」に出ていた女の子がとても可愛かったので調べてみたら、当時11歳だったヨハンソンで、驚いたことがあった。

 

さて、主役兼監督のロバート・レッドフォードは、やはり好い。
人間不信に陥っているようなピルグラムにトムはゆっくりと、誠実に接していく。
ああ、治療を必要としている動物に、専門家はこんな風に接するのかと感心させられる。
その様が人生不振に陥っていたグレースも同時に治療していくことになる。

 

そのゆっくりとした過程は心地よい。
しかめっ面ばかりだったグレースに少しずつ笑顔が戻ってくる。
広々とした草原の風に吹かれながらの日々が美しい。

 

トムは弟一家と一緒に牧場を営んでいるのだが、この人たちがまた好い人たち。
特に弟の奥さんが何くれとなく面倒をみてくれるのだが、押しつけがましいところはなく、それでいてきっちりと支えてくれる。
グレースはこの一家の幼い息子とも仲良くなっていく。

 

そんな日々に、アニーは次第にトムに心惹かれていく。トムもまたアニーに心惹かれはじめる。
その過程はとても自然に感じられる。そりゃ大自然にかこまれてこんなのびのびとした生活を送っていればこうなるよなと思わせる。、
でも、どうなるんだ、この二人?

 

ピルグラムは少しずつ人間不信から解放されていく。
ついにはかつてのようにグレースを乗せるようにまで回復する。

 

ピルグラムの治療が終わり、グレースたちがモンタナを去る時が来る。
トムとアニーの淡い恋心にはどんな決断がされたのか・・・。

 

悪い人は一人も出てこない映画です。
長めの映画ですが、せせこましい日常から解放されて、ゆったりとした癒やしのひとときを味わいましょう。