1988年 アメリカ 121分
監督:ローレンス・カスダン
出演:ウイリアム・ハート、 ジーナ・デイビス、 キャサリン・ターナー
大人のラブ・ストーリー。 ★★
ある事故で息子を亡くしたことから、メーコン(ウイリアム・ハート)とサラ(キャサリン・ターナー)の夫婦は別居することになる。そんなメーコンの前に子持ち・バツイチのミュリエル(ジーナ・デイビス)があらわれる。
奇妙な行動力を持ったミュリエルは、メーコンに直線的に近づいてくる。
原題は「アクシデンタル・トゥーリスト」で、出張のような自分が望まない旅行をする人、という意味のようだ。
これを「偶然の旅行者」と訳したのは、ちょっとニュアンスが異なるような気もするのだが。
メーコンは、そのようなアクシデンタルな旅行先でも家で居るときと同じように過ごすためのガイドブックを書いている。
言いかえれば、メーコンには旅行を楽しむ気持ちはなくて、なるべく旅行中であることを感じたくないわけだ。
そんなメーコンがとにかく煮え切らない。新しい恋人と元妻の、二人の女性の間でふらふらする。
どちらの女性にも強引にせまられると、つい、ふらふらとなびいてしまう。
だらしないなあ。観ているこちらもイライラするぞ。
サラに、あなたは自己表現をしないといった意味のなじられをするが、その通りの人物像ではないか。
サラも勝手だよなあ。
自分であなたとはもうやっていけないと言って家を出ていきながら、また戻ってきてよりを戻したがる、そのくせメーコンを非難する。
やり直したいと言ってきたのはそちらだろうが。
ミュリエルの自己中心的とも言える押しの強さにもちょっとついていけない。
打算なんかが全くなくて、自分の気持ちにどこまでも正直な、そこが魅力なんだ、と言われれれば、そうなのかなあと思ったりもするけれど。
というわけで、登場人物のそれぞれについていけないところがあって(ウイリアム・ハートは上品だし、好きな俳優なんだけれど)、映画に入り込むことができなかった。
すったもんだしたあげくに、最後は急にラブ・ドラマの定番の展開となって、あれでよいのかよ。
映画の最後のあたりで、死んだ息子に似た少年が「ボン・ヴォヤージュ」とメーコンに言ってくれるところは良かったな。
さて、メーコンはあれから良い旅路についたのだろうか?