2010年 アメリカ 109分
監督:ティム。バートン
出演:ミア・ワシコウスカ、 ジョニー・ディップ、
ヘレナ・ボナム=カーター、 アン・ハサウェイ
19歳になるアリスの冒険。 ★★★
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」をティム・バートンが映画化。ただし、アリスは19歳になっていて、幼い頃に不思議の国へ行った記憶をもっている、という設定。
ん~、なかなか考えたな。
ティム・バートンは「チャーリーとチョコレート工場」が個人的にはもうひとつだったので、これはどうしようかなと思っていた。
でも、3Dは映画館でないとなかなか観る機会がないし、ということで。
原作の「不思議の国のアリス」も「鏡の国のアリス」も好きなだけに、自分が創りあげているイメージが映画で裏切られたら嫌だな、という思いもあった。
結果、意外に面白く楽しめた。
極彩色の物語世界は3Dの表現に合っているのではないだろうか。
どこか、わくわくするような作り物めいていて、まるで、あの飛び出す絵本の感覚だな。
赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)の巨顔が面白い。あのアイ・シャドーも奇抜さにはまいった。
彼女、首をはねよ!が口癖だけれど、そんなに悪者には思えない愛嬌があった。
コンプレックスが裏返しにあらわれているような、気の毒な感じすらあった。
椅子を猿に支えさせているところなんかは、ちょっと人権(猿権?)無視だと思えたが。
(このヘレナがティム・バートンの奥さんなんだね。初めて知った)
それに対するアン・ハサウエイ分する白の女王。
濃い眉と、黒紫にくっきりと塗られた唇、それに妙な指先のポーズ、これらが一種独特の雰囲気。
物語の上では善人の役なのだけれども、なんだかこちらの方が腹黒そうな人物に見える。
ティム・バートンも絶対それを狙っているとしか思えない。
私は殺生を止めたのです、と言いながら、巧みに他人を使って殺生をさせようとしているではないか。あんた、悪人だろ?
この二人の女王の造形がよかった。マッド・ハッター(ジョニー・ディップ)なんかより、よほど印象に残ったぞ。
ま、他にもお馴染みの三月ウサギ、チェシャ猫、青い芋虫なんかもいて、好かったよ。
個人的にはハンプティ・ダンプティにも登場して欲しかったが。
不思議の国から現実世界に戻ったアリスの顛末は、ちょっと大人の物語になってしまっていた。
芋虫が蝶に変身したように、アリスも変身したということで、上手く収めようとしすぎている。ここは残念。
どうせなら、アリスが乗り込んだ船が海賊船になって、ジャック・スパロウが舵を取ればよかったのに・・・(笑)。