監督:ブライアン・G・ハットン
出演:リチャード・バートン、 クリント・イーストウッド、 メアリー・ユーア
捕虜救出大作戦。 ★★☆
雪深い山の上にそびえるドイツ軍の要塞に、連合軍の将軍が捕虜になってしまった。イギリスの精鋭特殊部隊がその救出に向かう。
脚本は「ナバロンの要塞」のアリステア・マクリーン。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線が舞台で、物語の狙い目も似ている。
戦争は単に舞台背景として用いられているだけで、戦闘場面などは一切なく、戦争の悲惨さとかとは無縁に作られている。
だから、戦争映画というよりは、冒険活劇映画といったおもむきである。
悪人に捉えられた味方を助けに行く冒険もの、そこにスパイ合戦の香辛料を加えた、という感じ。
物語の前半は、”鷲の城”と呼ばれる要塞への潜入。要塞は山頂にあり、麓の村からの往来手段はロープウェイしかない。
リチャード・バートンを指揮官とする6人の救出部隊なのだが、なぜか一人だけアメリカ軍のクリント・イーストウッドが混じっている。
落下傘で降下した仲間の一人が何者かに殺されたり、こっそりと女性が後から降下したりと、最初から謎含みで物語はすすむ。
映画の前半、後半は要塞への潜入、そして脱出というアクション映画になるのだが、中盤はスパイの騙しあい合戦で、この部分がとても面白い。
意外なメンバーが実はスパイであることが暴露されたり、そうかと思うとある者は実は二重スパイだったり、と思えばさらにその裏があったりと、物語はひねってある。
果たして誰が味方で、誰が嘘をついているのか、そしてリチャード・バートンの本当の狙いは何だったのか。
後半の脱出場面では、要塞での爆発・銃撃の連続、そしてロープウェイでの一大アクション場面となる。
もちろんCG技術などほとんど無い時代の映画なので、空中高い場所での乱闘、という緊迫感は、当然ながら現在の作品とは比べものにはならない。
しかし、よく頑張っている。
前半では何のためにしているのか分からなかった救出作戦の伏線が、後半で生きてくる。
ああ、そうだったのか。
ただ、あまりに計画が予定通りに上手くいきすぎるんじゃないの、という部分があることも否めないのだが、ま、そのへんは娯楽映画ということで。
若々しいイーストウッドが、晩年に通じる苦虫をつぶしたような表情で活躍します。
物語は変化に富んでいて、160分という長尺だが、まったく退屈することはありません。