あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「桜桃の味」 (1997年)

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1997年  イラン 98分
監督:アッパス・キアロスタミ
出演:ホユマン・エルシャディ

哲学もの・・・? ★★

自殺を決意しているバディは、自分の死体を埋めてくれる協力者を探している。
バディは落ちついた風貌の紳士風であるが、彼の背景の説明はなにもなく、自殺を決意した原因も語られることはない。
彼はあてもなく車を走らせて、これはと思う人に声をかけるのだが、なかなか話はすすまない。

監督は「友だちのうちはどこ?」が印象的だったアッパス・キアロスタミ
登場してくる人物たちの感情をあらわすことを極力避けて、淡々と場面を描写していく作風は同じである。
「友だちのうちはどこ?」は主人公の少年の健気さが画面から伝わってきて、新鮮な感じを受けたのだが、こちらはかなり平板。
はっきり言って、かなり退屈する。

採土場のような荒涼としたところを走る車の中での会話がほとんどである。
彼が声をかけたのは、若い兵士、機械の番をしている男、そこへ遊びに来た神学校の青年、など。
彼らの宗教がキリスト教なのかイスラム教なのかは判らないが、誰も死体の土をかける行為に尻込みする。それはそうだろうなあ。

何を伝えたい映画だったのだろう?
これだけ退屈なほどに淡々と撮るからには、なにかメッセージがあるのだろうと思う。娯楽作ではないものね。

最後に声をかけたのは自然史博物館のようなところの解剖室ではたらく老人。
ここからやっと映画が動く。
老人は、自分も自殺を試みたことがあると語る。そして自殺を思いとどまることになった経過も。
首を吊るための紐をかけようと上がった木になっていた桑の実が甘かったのだ。

そして彼は、死体に土をかけることを引きうけてくれる。

砂土だらけの荒涼とした風景ばかりだったのが、街の風景が映り、緑も映るようになる。
ただ、これを単純にバディの気持ちが荒涼としたものから人のいるものに戻ってきたと解釈するのは適切ではない気がする。そんな簡単なことではないだろう。
では、なんなのだ?

最後の展開には驚いた。まさか、こんなエンディングがくるとは。
これは私としては、反則技ではないかと監督に文句を言いたい。1時間半あまりを見せられてこれかよ、と。

この作品はカンヌ映画祭パルムドール賞を受賞しています。
たぶん、高い評価をする人は沢山いらっしゃるのだと思います。
ま、時間のある人は観て下さい。