2007年 フランス
監督:ジュリー・デルピー
出演:ジュリー・デルピー、 アダム・ゴールドバーグ
毒気のあるコメディ。 ★☆
ジュリー・デルピーが制作、脚本、監督、主演、音楽、編集と、6役をこなして作った映画。
彼女が作りたかった映画を、それこそ誰にも邪魔されずに作ったということなのだろう。
すごい才人なのだと思うが、どうも私には合わなかったなあ。
つき合いが2年になるフランス人カメラマンのジュリー・デルピーとアメリカ人インテリアデザイナーのアダム・ゴールドバーグは、デルピーの故郷パリで2日間を過ごすことになる。
2人はデルピーの両親と同じアパートにたどり着くのだが・・・。
個人的な印象なのだが、どうも母国にいるフランス人は他国人に対して意地悪なところがあるように思う。
おそらく、フランス人はとてもプライドが高いのだろうと思う。
そしてフランス語に対して妙な誇りを持っている。
この映画でも、デルピーの両親はしきりにゴールドバーグにフランス語は話せないのかと聞いたりする。
そして話せないのを承知の上で、フランス語のジョークを言ったりする。意地悪である。
フランスとアメリカのカルチャー・ギャップのようなものに、ゴルドバーグが翻弄されていく。
おまけに、2人で街を歩けばデルピーの元彼がつぎつぎと声をかけてくる。
元彼たちと親しげに意味の分からないフランス語で会話をして、笑い合うデルピー。
そりゃ、今彼のゴールドバーグとしては面白くないわな。
このジュリー・デルピーの感性は私に合わないのだろう。
笑いを取るエピソードや会話も下ネタっぽいのが多い。
あまり上品ではない。
しかも、デルピーの考えや行動はかなり自分勝手。
それがフランス人の気質なのかもしれないのだが、観ているうちにゴールドバーグに同情してきてしまった。
アメリカ的な文化に慣らされてしまって、私の感性がアメリカ風に染められているためだろうか。
同じパリの街での物語だった「モンテーニュ通りのカフェ」を観たときは、お洒落なパリの街に憧れたのだった。
しかし、この映画を観ると、パリの街が、というよりもフランス人が嫌いになってしまいそうだった。
毒気のある会話を楽しめる人でないと、観ていてちょっと痛くなります。
デルピーの両親役で出演しているのは、デルピーの実の両親だそうです。