あきりんの映画生活

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「トゥモロー・ワールド」 (2006年)

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2006年 イギリス 109分
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:クライブ・オーウェン、 ジュリアン・ムーア

暗い近未来SF。 ★★

世界中で20年間近く子供が産まれなくなった終末的な近未来世界が舞台。
希望が失われていて、暴力がはびこっている。
当然ながら、気持ちが浮き立つような世界ではない。

イギリスはなんとか秩序を保とうとして、国境を封鎖し不法入国者を徹底的に取締っている。
自分たちの国だけはなんとか守ろうとしているわけだ。
警察や軍隊の力によって、不法入国者を見つけては強制的に移送して隔離している。
この映像は、ナチスユダヤ人狩りを想起させることを意図しているのだろう。
やはり観ていて、気が滅入る。

そんな世界の住人セオ(クライブ・オーウェン)は、反政府活動に身を投じている元妻(ジュリアン・ムーア)から一人の移民少女を頼まれる。
その少女は、なんと、妊娠していたのだ。

この少女をめぐっての激しい争奪が、この映画の主なあらすじ。
少女を奪おうとする反政府グループと、それを鎮圧しようとする政府軍の争いの中で、セオと少女はどちらからも逃げ延びなくてはならない。
長回しによる市街戦の映像が話題になったらしい。確かに迫力のある場面であった。

激しい銃撃戦のさなかで、軍隊の指揮官がその少女たちに気づく。
信じられないものを見たという驚き。
そして急いで部下たちの発砲を止めさせる。
銃を下ろして無言で静止した兵士たちの間を、少女たちがゆっくりと歩く。
生命の尊厳を具現化した印象的な場面だった。

このように良い場面もあったのだが、映画全体の出来としてはもう一つという感であった。
頑張った作品だとは思うのですが。