1998年 アメリカ 121分
監督:ウィラード・キャロル
出演:ショーン・コネリー、 ジーナ・ローランズ、 アンジェリーナ・ジョリー、 マデリン・ストゥ
デニス・クエイド、 エレン・バースティン、 ライアン・フィリップ
愛をめぐる群像劇。 ★★★★
この作品、群像劇の傑作「マグノリア」の人間ドラマの部分と、「ラブ・アクチュアリー」の愛の部分をを足して2で割ったような映画。(と言われても、よく判らないよなあ。)
5組の男女と、1人の男性、計11人が登場する。
みんな、愛に飢えている。そして少し歪んだ愛をおこなっている。
料理研究家のハンナ(ジーナ・ローランズ)は、もうじきポール(ショーン・コネリー)との結婚40年を迎えようとしている。ポールは癌におかされてもいるようだ。
しかし彼女は、若かった頃の夫が他の女性に心を許したことを未だ許せないでいる。
夫との破局を迎えた経験のある演劇プロデューサーのメレディス(ジリアン・アンダーソン、「Xファイル」の捜査官ね)は、新しい恋に踏み出せないでいる。
建築家の彼(ジョン・スチュアート)はやさしく彼女を理解しようとしてくれているのに。
夫との仲が上手くいっていないグレイシー(マデリン・ストゥー)は、ただ肉体関係を求めてロジャー(アンソニー・エドワーズ、「ER」の人ね)と付き合っている。
しかし、不倫の相手ロジャーは、真剣に彼女を愛し始めていて、次の関係になることを望んでいる。
恋人と別れたばかりのジョーン(アンジェリーナ・ジョリー)は、ディスコの喧噪の中でキーナン(ライアン・フィリップ)と知り合う。
ある秘密を抱えたキーナンは孤独を愛していて、なかなか気持ちを開かない。そんな彼にジョーンは惹かれていく。
エイズの末期となり、死の床についている息子の元へ、長年不仲だったような母(エレン・バースティン)がやって来る。
死を目の前にして、二人はこれまでの人生を振り返り、気持ちが寄り添い始める。本当は言いたかったけれど、これまで言えなかったこととは・・・。
妻が死んだばかりだ、とか、妻が不倫をしているんだ、とか、毎夜酒場で適当な相手を捕まえては作り話をしている男(デニス・クエイド)。
彼はいったい何を求めている?
(ナターシャ・キンスキーがちょい役で登場。友情出演?)
と、年齢もさまざまなこれだけの人たちの人生の断面が並行して描かれていく。
あくまでも人生のある瞬間を切り取っているという描き方なので、個々の物語がそれほど深く掘り下げられているわけではない。
だから、群像劇なのだけれども、6つのオムニバス映画と捉えてもいいかも知れない。
実際、最後の場面になるまでは、それぞれの物語が絡み合うこともない。
ショーン・コネリーが渋い。
若かった頃に心惹かれた相手と何故寝なかったのかを妻に告白して、そのあとに「人を愛して、あらためてお前を愛していることに気づいたよ」なんて、なんという言いぐさだ(笑)。
格好好いねえ。しかし、ショーン・コネリーでなかったらギャグになってしまうところだ。
アンジェリーナ・ジョリーも若い。
自分の感情を抑えきれないエキセントリックな、それでいて純真な女性を演じて、輝いている。
ちょうど「17歳のカルテ」でアカデミー賞助演女優賞をとった年にあたる。
今のセレブ感があふれる魅力とは違った、初々しいはじけるようなアンジーを観ることができる。
物語がすすみ、それぞれの恋や愛の気持ちが形になってあらわれている。
完全にすっきりするわけでもないのだが、なんだかホットするような気分にはなる。
そして最後の場面、ポールとハンナの結婚40周年が祝われる日に、これまでの出演者たちが集まってくる。
なるほど、こういう仕掛けだったのか。なるほど。
群像劇が好きな方にお勧めです。でも、未だDVDにはなっていないのかな?