あきりんの映画生活

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「ブーリン家の姉妹」 (2008年)

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2008年 イギリス 115分
監督:ジャスティン・チャドウィック
出演:ナタリー・ポートマン、 スカーレット・ヨハンソン、 エリック・バナ

中世イギリスの宮廷劇。 ★★★☆

大英帝国繁栄の基礎を作ったのは生涯独り身をとおしたエリザベス女王一世。
そのエリザベス女王のお母さん、アン・ブーリンのお話。
どろどろとした女の争い、それを利用しようとする男の争い。中世って、こんなのかよ?

(註:史実なので、以下、ストーリーに触れています。)

最終的には6人もの妻をめとったことで有名なイギリス国王がヘンリー8世エリック・バナ)。
ヘンリー8世の最初の奥さんに男の子が生まれなかったことから、国王夫婦の仲は冷え切る。
それを知った悪賢い貴族の一人が身内の女性、アン・ブーリンナタリー・ポートマン)を愛人に差し出そうとする。
アンも権力の中枢に入り込むことにまんざらでもなく、その気満々となる。
さあ、女の魅力で王を陥落させるぞ。

ところがヘンリーが目をつけたのは、なんと華やかな姉アンの陰でいつも目立たなかった地味な妹のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)。
しかも、メアリーは結婚したばかり。
えっ、私には夫がいるんですよ。そんな王様の愛人になるなんて嫌です。

しかし、国王の権力は絶大。
人妻だろうがなんだろうがおかまいなし。おお、愛しいやつよ、近こう寄れ、今夜だぞと、目を付けたら逃がさない。
大奥で好き勝手し放題だった日本の将軍といい、イギリスの国王といい、権力者はいいなあ’(笑)。

となると、面白くないのはアン。
このままではおくものかと、フランスで男の操縦術の手練手管を学んでくる。女の執念は恐ろしい。
そして、妊娠はしたものの切迫流産となったメアリー。メアリーが面会謝絶になった隙に、ヘンリーに近づくアン。女の執念は恐ろしい。

ヘンリーの心を掴んだアンの、それからの手練手管がすさまじい。
王妃と離婚して下さいな、正式の妻になれるまでは身体は許しませんことよ。
と、いわれて、ヘンリー8世は、なんと離婚を禁じたローマ・カトリック教と決別して、イギリス国教を立ち上げてしまう。そして王妃と離婚。

女性ひとりのわがまま(!)のために、国全体の宗教まで変えてしまうなんて、う~む、権力者の盲目愛は怖ろしい。
国王を手玉にとるアン・ブーリンはもっと怖ろしい。

というようなわけで、映画のほとんどは宮廷の内部劇。
男女の心の移ろいなのだが、それが国を動かすような人物の心の移ろいなので、周りの人たちの運命もそれにともなってどんどんと激変する。
王様が女好きだと、周りはえらい迷惑だな。

姉のアンが陽とすれば、妹のメアリーは陰。
(最近、メアリーが姉で、アンは妹だったのではないかという説も出てきているようだ)

うわべは華やかで美しいのに、心の奥がどろどろしたアン・ブーリン
そんな激しい感情をむき出しにして運命を切り開こうとするアンを演じて、ナタリー・ポートマンが輝いている。
噂の「ブラック・スワン」の演技につながっているのではではないだろうか。

ヨハンソンは役柄上、ちょっと地味な印象でまとめていた。
あか抜けない野暮ったさが、一歩引いて生きていく女をあらわしていて、上手く演じていた。

姉妹のその後の運命は対象的。
史実だから誰でも知っていることだが、アン・ブーリンは結局は、断頭台の露と消える。ううむ。
田舎へ戻ったメアリーは、つつましやかだけれども望んでいたような人生を送る。

そのメアリーの生んだ男の子はあくまでも私生児。
それにひきかえ、内実はどうあろうとも、王妃だったアンの生んだ女の子は王位継承者の資格を持つ。
ということで、その女の子がこのあと大英帝国を築いていくエリザベス女王一世となるわけだ。
運命は皮肉だ。

見応えのあるドラマだった。
さて今度はケイト・ブランシェット演じる「エリザベス」を観なくては。