あきりんの映画生活

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「ロスト・イン・トランスレーション」 (2003年)

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2003年 アメリカ 102分
監督:ソフィア・コッポラ
出演:ビル・マーレイ、 スカーレット・ヨハンソン

異邦人の彷徨い。 ★★★

フォード・コッポラの娘、ソフィア・コッポラが、東京を舞台に撮った作品。
孤独な異邦人の二人が東京の街で出逢い、東京の町を彷徨う。静かなほほえみの映画。

ウィスキー(サントリーです)のCM撮影のために来日したボブ(ビル・マーレイ)は、業務上の歓待をいろいろと受けるのだが、異国にいる不安や戸惑いを感じている。
同じホテルにはカメラマンの夫同行してきた若妻シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)が滞在していた。
彼女も仕事で不在になる夫に残されて孤独を感じていた。

実際にコッポラ監督は夫の仕事について来日したことがあり、その時の感情をもとにして脚本を書いたとのこと。
孤独な二人がバーで出逢い、同じような感情を抱いていることを感じ取って言葉を交わす。

当初、映像で捉えられた東京の街は魔界のようにも思われる。
そして、異なる文化・言語の日本人が理解を超えた知識生物(?)のように感じられているようだ。
日本人としては、そのとらえ方は必ずしもすべてが快いものではないが、コッポラの目にはそう写ったのだろうな。
私がたとえば韓国とかインドとかのまったく言語がわからない国へ出かけたときに受ける印象に近いのかもしれない。

喧噪の東京の街で二人は孤独な時間を共有する。
大事件が起きることもなく、食事に出かけたり、パーティに紛れこんだりと、お互いの人生のなかの寂しいひとときを共有するだけなのだ。
そして、当たり前のように二人に別れのときがくる。

帰国のために空港へ向かうタクシーの中から、ビルがシャーロットを見かけ、雑踏の中で抱きしめる。
最後まで二人が男女の仲にならないところには女性監督らしさを感じた。それがよかった。

400万$の低予算、27日間の短い撮影期間で作られたとのこと。
しかし、アカデミー脚本賞はとっているし、ゴールデングローブ賞英国アカデミー賞でもいくつもの賞を取っています。
たしかに独特の雰囲気のある作品でした。