1973年 フランス 115分
監督:クロード・ルルーシュ
出演:リノ・バンチェラ、 フランソワーズ・ファビアン
6年越しの大人の恋。 ★★★
オープニングから、なんと、あの名作「男と女」の場面が抜粋で映し出される。
流れる音楽もフランシス・レイの例のダバダバダ、ダバダバダ、だ。
あれ、これはどういうことだ?
クロード・ルルーシュ監督はとにかく才人なのだろう。
「男と女」「白い恋人たち」などの軽い作品、それに「愛と哀しみのボレロ」のような大作、どちらもこなしている。
しかし、その才気が空回りするととてつもない駄作を作ることになる。
「恋人たちのメロディ」とか「冒険また冒険」などは酷いものだった。
この作品はどうだろうとあまり期待しないで観たのだが、なかなかに好い作品だった。
冒頭の場面は、囚人たちが大晦日の娯楽として映画を観ているという設定だった。それにしても、自分の映画を使うかよ(苦笑)。
新年の恩赦で釈放されたシモン(リノ・バンチェラ)は、昔見初めたフランソワーズ(フランソワーズ・ファビアン)の行方を追う。そして彼女と知り合った頃を回想する。
現在はモノクロで、回想場面はカラーで撮られている。これはルルーシュが時折見せる手法だな。
以下は回想場面となる。
高級宝石強奪を企てたシモンは、仲間を一人誘い込み、巧みな変装をしたりして周到な準備をしていく。
その宝石店の隣のアンティーク・ショップの女主人がフランソワーズだったのだ。ちょっとした細工をして彼女の気を引き、親しくなるシモン。
この宝石店強盗にいたる過程はとてもよく撮れている。そしていよいよ強盗に入ったあたりはスリリングで、目が離せない。
結局ちょっとした手違いで大金は奪えたのだがシモンは捕まってしまう。
で、現在となって画面はモノクロとなる。
6年の服役を終えて釈放されたシモンだったが、フランソワーズには新たな男がいることを知り、黙って旅立とうとする。
最後の未練で、駅からフランソワーズに電話をかけるシモン。そして・・・。
純真とも言える男の一途さで女に恋をしているリノ・バンチェラが渋い。
銀行強盗というサスペンスと、大人の恋物語が上手く組み合わされていて、上質の雰囲気を出している。
これは佳品だった。