2004年 香港 91分
監督:ジョニー・トー
出演:リッチー・レン、 ケリー・チャン、 ニック・チョン
強盗と警察のニュース合戦。 ★★★
冒頭にまず7分に及ぶワンシーン・ワンカットの銃撃戦が映し出される。
さすがジョニー・トー監督。銃撃戦にはこだわる。こうこなくては。
この銃撃戦は強盗団と警察。
そして警察官たちを倒してまんまと強盗団が逃げていく場面を、たまたま交通事故の中継で居合わせたTVカメラが映しだしてしまう。
警察の面目丸つぶれだ。こうなりゃ、強盗団を逮捕する場面をTVでリアルに放送してやるわよ。
ということで、その作戦の指揮を執るのが女警視のレベッカ(ケーリー・チャン)。
彼女の三白眼の目力がすごい。怖ろしいほどに印象的。(笑)。
対する強盗団のボスがリッチー・レン。映画が犯人よりの映像になっているせいか、あまり悪人には見えない。明るい好青年風(笑)。
そして始めに強盗団に逃げられて、その逮捕に執念を燃やす現場の警部補にニック・チョン。
彼が誰かに似ているなあと思っていたのだが、ああ、そうだ、布袋寅泰に似ているんだ!(笑)
強盗団は警察に追われて、とある9階建てのマンションに逃げ込む。
ところが、このマンションには2人の殺し屋も隠れていた。
ここからは迷路のようなマンションの中での、強盗団/殺し屋 vs. 警官隊の闘い。
拳銃や短機関銃の銃撃は言うに及ばず、手榴弾やプロパンガス・ボンベの爆発まで加わる。
これでもくらえっ!
原題はそのものずばりの”大事件”。分かりやすい。
もちろんマンションの周りには報道陣が詰めかけて、TVの生中継。
午後のニュース・ショー番組の視聴率も上がっているにちがいないわけだ。
犯人側もパソコンから人質の様子の映像を送ったりと、衆人環視の中での闘いが続いていく。
籠城したひと部屋で、昼食時だからといって強盗と殺し屋が並んで食事を作る場面がある。
そして人質一家も交えて、皆で美味しそうな料理を食べる。
ジョニー・トー監督は食事風景にこだわりを持っているのかもしれない。
あの香港ノワールの傑作「エグザイル/絆」でも、敵味方が一緒になって食事をとる場面があった。
この挟み込まれた食事の和やかな雰囲気が、後半の激しい銃撃戦の再開を盛り上げる。
偶然に同じ場所で警官隊と対峙することになった強盗団のボスと殺し屋が、次第に男の友情みたいなものを育み始めるところは、ジョニー・トー監督らしくて、好いなあ。
そして終盤。
強盗団たちはどうやって脱出を図るのか。
警察側との闘いはどのように収束して、”大事件”が終わっていくのか。
91分という短めの尺で、ときにユーモアも交えて、緩急自在に物語はすすみます。
ノワールものが好きな方でしたら、きっと満足できると思います。