あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「ピノイ・サンデー」 (2009年)

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2009年 台湾 84分
監督:ウィ・ディンホー

異国での日常のなかのドラマ。 ★★☆

フィリピンから台湾へ出稼ぎにやってきたマヌエルとタドの二人。
門限の厳しい寮に住み、工場で働く。
そんな二人の楽しみは、仕事が終わったあとに寮の屋上で飲む冷えた台湾ビール(本当はフィリピン・ビールがいいのだけれども、台湾では高いらしい)。

タイトルは”フィリピン人の日曜日”ということらしい。
台湾の風景が美しくとらえられている。
登場人物たちも、いろいろな悩みを抱えていながらも、善人特有のユーモラスな一面を見せてくれる。

女性に対して自信満々だったマヌエルは、知り合ったばかりのセリエにあっさりとふられてしまう。見ていて少し痛い。
故郷に家族を残してきたタドは、同じように出稼ぎに来ていた人妻とのW不倫を終わらせようとする。
二人とも、どうもすっきりしない。もやもや。
そんな日曜日に、マンゴーアイスを食べていた二人は、引っ越しの際に棄てられた立派な赤いソファを見つける。

このソファを寮に持ち帰って、そこでくつろぎながら屋上でビールを飲もう、きっと素晴らしいぞと、目を輝かせるマヌエル。
でもこんな大きいものを、としぶるタド。
ほら、このソファがある光景を想像してみろよ、とそそのかすマニエル。
で、そこから二人の珍妙なロードムービーとなる。
この二人、漫才で言えばボケとツッコミ。絶妙のコンビとなっている。

立派な赤い革張りのソファである。
当然バスには乗らない。お金がないので運送屋にも頼めない。
自分たちで抱えて持って帰るしかない・・・。寮までは遠いぞ。
門限に遅れたら、フィリピンへ強制送還されてしまうかも知れないらしいのだ。さあ、たいへんだ。

頻繁に車が行きかう大通りを、前後でソファを抱えて横断する二人。かなりシュールな光景である。
途中では、屋根から飛び降りようとする少年に遭遇したり、乗せてもらったトラックで居眠りをしている間に見知らぬ場所へ行ってしまったり・・・。

うがってみれば、これは日常生活の中での冒険譚でもある。
いわば、”ロード・オブ・ザ・ソファ”なのだ。魔法はでてこないけれど(苦笑)。

傍目から見れば馬鹿馬鹿しいような二人の行動。
しかし、二人が必死になって運ぼうとしたソファは、なにか二人にとっての夢とか希望とか、そういったものの謂いだったのだろうと思える。
さて、ソファの顛末は? その後の二人は?

ユーモアとペーソスが嫌みなく絡み合っている。
のんびりとした、食事にたとえればスローフードといったところ。
これはぎすぎすした現代人の、一種の夢物語なのでしょう。