2006年 ハンガリー 91分
監督:バールフィ・ジョルジ
グロテスクな映画。 ★★★☆
NHKがロバート・レッドフォードと協力して開催しているのがサンダンス映画祭。
そのサンダンスで受賞しながらも、NHKが放映を見送ったとのこと。
そりゃそうだ、こんな内容の映画をTVで放送できるはずがない(汗)。
映画はある一家の三代記である。祖父、父、息子が描かれる。
う~ん、どの人物も変わっている。嗜好が、いや思考そのものがグロテスク?
言ってみれば、それぞれ性欲と食欲とそして究極の生を追求している。
まず、第二次大戦中のハンガリーが舞台。
寒村に駐留している一兵卒の祖父は、尊大な中尉にこき使われている。
中尉には、豚を思わせる肥った妻と、美しい二人の娘がいた。
祖父は女たちの風呂の支度をしたりしながら、性の妄想に耽っては自らを慰めていた。
いきなりの火炎放射ペ○ス。火炎放射ペ○スですよっ! これにはあんぐり。
女たちの入る木をくりぬいた浴槽は、ベッドにもなり、棺にもなり、食肉置き場にもなり・・・。
やがて性欲は(醜く)暴走して、祖父は太った(醜怪な)中尉の妻との情事をしてしまう。
そして父が生まれる・・・。
映像はいろいろと工夫された撮り方をしている。
しかし、物語の内容が強烈なものだから、どんな変な撮り方をしていても違和感はない。
う~ん、前衛的なんだか、単に滅茶苦茶なだけなのか・・・。
やがてハンガリーは共産主義政の時代となる。
大食いとなった父は、その大食い大会の選手となっていた。
この大食い大会はオリンピック公認競技となることも期待されているよう。
父は大食い大会で優勝するための鍛錬を怠らない。もはや大食いはスポーツなのだ。
しかし、大食い大会で頂点を極めるためには、食べたものを噴水のごとく吐く技術も要求されるのだ。
おいおい、こんな場面を何回も映していいのかよ(呆)。
崇高なはずのスポーツとしての食欲は、私には醜いものに思えてしまうぞ(あ、あなたもそう思いますか 笑)。
これはもう、監督は確信犯的にやっているなあ。
父は、同じ大食い選手だった母と愛し合って息子が生まれる。
さて、その息子は剥製師となっていた。
そして大食いの結果、肥満で身動きもできなくなった父を世話していたのだが・・・。
剥製師は生物のかたちを永遠に留めようとする。
不慮の事故で亡くなってしまった父を、剥製にしてしまう。
そして、ついには自分自身を・・・。
究極のグロですが、不思議にここはそれほど醜くはありません。でも、やっぱり強烈か・・・。
評価が難しい作品。
というか、受け入れられるか否かでまったく評価が両極端になるであろう作品。
とにかくこれはエロ・ゲロ・グロに満ちた変態映画です。
これからご覧になる方は、そのあたりを充分に覚悟の上でどうぞ。