あきりんの映画生活

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「ミロクローゼ」 (2012年)

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2012年 日本 90分
監督:石橋義正
出演;山田孝之、 マイコ

シュールなファンタジー? ★★★☆

監督の石橋義正の作品は初めて観た。
映画監督というよりは映像作家という立ち位置のようだ。

で、この映画も、普通の概念の映画ではない。
ストーリーは滅茶苦茶で、現実感は皆無。わざとらしい画面のオン・パレード。
もちろん意図的にそうしているわけで、それが合わない人にはまったく面白くない代物と言える。
私は結構好きだなあ、こういうの(喜)。

作品は三部構成で、各パートの繋がりはほとんど、ない(苦笑)。
いわば、コラージュのような感じ。

始めはオレンジ色の髪の少年男、オブレネリ・ブレネリギャーの物語。
絵本のように極彩色で、いかにも作り物にみえる舞台。
オブレネリは公園で出会った美女“偉大なミロクローゼ”にひと目ぼれしてしまう。
しかし、幸せいっぱいだった彼の生活は突然に破綻する。

次は、毒舌の青春相談員、熊谷ベッソンの物語。
化粧ど派手、エロい水着姿の美女を引き連れて踊りまくる。
そして、純情青年の恋の悩みに激しい罵倒を加えながらアドバイスをしていく。
オブレネリとの関係は、・・・なにもない。

そしていきなりと片目の浪人、タモンの物語。
タモンは花屋のユリに一目惚れしたのだが、その彼女は特攻隊姿(?)の盗賊団にさらわれて遊郭に売られてしまう。
彼女を取り戻すべく、剣の腕を磨き、遊郭に乗り込むタモン。

最後に、成長したオブレネリが偉大なミロクローゼと再開する物語。

この3話の主役はどれも山田孝之(少年オブレネリだけは別)。
彼の役者ぶりはすごい。
最近では、漫画雑誌の良心的な編集者だった(バクマン。)かと思うと、歌舞伎町の野心に燃えたスカウトマン(新宿スワン)だったり、信長を暗殺して天下を取ろうと目論んだり(信長協奏曲)もしていた。

場面はどこをとってもポップな絵になりそう。
白いスーツにサングラスのベッソンが踊る場面はノリノリだし、タモンがヤクザたちとくり広げる大殺陣回りは歌舞伎の役者絵を見ているよう。
様式美にも溢れていた。

繰り返しになるが、この映画は物語を楽しむとか、そんな常識的な次元は跳びこえた所にある。
TV局とタイアップして商業的に成功する映画を作ろう、などというコンセプトとは対極にあるような作品。
ここには無手勝流の勢いがある。
国も時代も超えた美意識もある。

好き嫌いははっきりと分かれる映画ですが、鈴木清順大正ロマン3部作が好きな人だったら大丈夫かもしれません。
(その鈴木清順も、好い味を出して一場面に登場しています)