2014年 ドイツ 106分
監督:バラン・ボー・オダー
ハッカーの独白。 ★★☆
天才的なハッカーであるベンヤミンは、野心家のマックスにその才能を認められて一緒にハッカー・グループ「クレイ」を作る。
そしていろいろなサイトに不法侵入しては楽しんでいる。
マックスは、彼らの世界のカリスマであるMRXに認めてもらうことを目標にしているのだった。
物語は、ベンヤミンが殺人事件の捜査官にこれまでのことを話すという形式で展開する。
盗んだ情報が元で殺人事件が起こってしまい、今度は自分の命も狙われるようになってしまったのだ。
これまでのことを話すので、代わりに証人保護プログラムで自分を守ってほしい・・・。
だから、ベンヤミンが本当のことを言っているのか、捜査官を騙そうとしているのか、そのあたりは要注意ということになるわけだ。
この構造は、そう、あの「ユージュアル・サスペクツ」的なのだよ。
コンピューターの中の仮想世界は、ピエロの仮面をつけた彼らが不気味に暗躍する映像であらわされる。
音楽ももちろん電子音楽的で、ガンガンとのっていく。
原題は「わたしは誰?」みたいなものなのだが、邦題がなかなかに頑張っている。
この題の頭文字をつなげると、主人公たちのハッカー・グループの名前「クレイ(CLAY)」となる。なるほど。
判りにくいのは、彼らが何を求めてハッキングをくりかえしたのか?
単に面白がり? そのあたりの共感が得にくかった。
もうひとつの問題点、それは・・・。
ベンヤミンが一途に想いを寄せているマリ。彼女、どう見ても美人には見えない。
ぜんぜん可愛くないのだが、本当にヒロイン?(苦笑)
この映画の惹き文句は「92%の人が騙された」というもの。
う~ん、たしかに、ああ、そうだったのか、と思わされた。
(以下、完全ネタバレ!)
ベンヤミンの自白を検証した捜査官は、彼の話の矛盾点を見抜く。
その結論とは・・・ハッカー・グループ「クレイ」は、結局はあの”ファイト・クラブ”だったのだ!
と思わせておいて、最後にもう一度のどんでん返し。
う~ん、マリはどうしてそこにいるの?
ベンヤミンの話はどこまでが本当だったのか、本当に判らなくなったぞ。