2016年 フランス 131分
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:イザベル・ユベール
ブラック・コメディ? ★★★☆
監督は「ロボコップ」や「氷の微笑」のポール・ヴァーホーヴェン。
彼がこんな映画も撮るのかと驚いた。
サスペンスとは言いにくいし、だからといってコメディではないだろうし。
これはサイコ・ヒロインものだった?(汗)
ゲーム会社の女社長のミシェル(イザベル・ユベール)。
会社ではアダルト・ゲームを開発しているようで、プログラマーたちにもっと扇情的な場面を創れと厳しく叱咤激励するミシェル。
その彼女はある日、独り暮らしの自宅で覆面の男に襲われ、殴打され、レイプされてしまう。
まるでアダルト・ゲームの中の被害者のよう。
冒頭からいきなりの展開である。
普通だったら、レイプ被害者は肉体的にも精神的にも酷く傷つき、尋常ではない状態に追い込まれるところ。
しかしミシェルは違った。
男が去ったあと、彼女はなにごともなかったように衣服を整え、割れた食器の後始末をしたりする。
まるで、何にもなかったよう・・・。この女、どこか不気味・・・。
とにかくミシェルの神経は並ではない。精神状態は並ではない。
友人たちとの食事の席で、私、レイプされたの、とあっけらかんに語ったりする。おいおい。
親友の旦那とは不倫しているし・・・。おいおい。
しかし、ミシェルのパソコンには、レイプ男が彼女を監視しているかのような不気味なメールが届く。
帰宅してみると、彼女のベッドには男が独り行為に及んだ跡が残されていたりする。
これは何とかしなくては!
この、何を考えているのか、判らないようなミシェルが怖ろしくなってくる。
近所の若夫婦との食事場面では、テーブルの下で足を伸ばして若夫婦の夫にモーションをかけたりする。おいおい。
当然のことだが覆面レイプ野郎なんて、しかもそういう状況でないと興奮しないなんていう野郎は、サイコ野郎に決まっている。
しかし、しかしである。
このミシェルというヒロインも、それに負けず劣らずのサイコであるような気になってきてしまった(汗)。
事件は想定外の結末へ向かっていく。
う~む、最初から最後まで、イザベル・ユベールの怪演を堪能する映画だった。
ユベールの年齢を確認して驚いた、なんと還暦を超えていた!
恐るべし、イザベル・ユベール!
(余談)
この映画は名画座で「セールスマン」との2本立てで観た。
どちらも冒頭でレイプ事件が起きる映画。
しかし、フランスとイランではそこから始まる物語がまったく違っていた。