2018年 アメリカ 115分
監督:アレックス・ガーランド
出演:ナタリー・ポートマン、 オスカー・アイザック
副題は「全滅領域」。 ★★★
隕石が落ちたことを端緒に、シマーと呼ばれる奇妙な膜でおおわれた地域が生じていた。
シマーに調査に入った者は、科学者も軍隊も誰も生還していない。
しかも、その膜でおおわれた地域は次第に拡張しているのだ。
あの膜でおおわれた地域の中はどうなっている?
いろいろな専門分野の女性学者5人が調査に行くことになる。
夫がやはりそこで死んだリナ(ナタリー・ポートマン)も加わる。
シマーの中では時間感覚が狂い、何日が経過したのかも誰も覚えていない。
コンパスも狂っていて、外部との連絡も取れなくなる。
そしてここでの動植物の形態は捩れているのだ。
どうやら生きもののDNAが種族を越えて混ざり合っているようなのだ。
異種交配で、美しいけれども奇妙な形態の花など、新規な生物が誕生している。
唸ったのは人間の形の育っている植物。さすがに不気味だが、印象的な造型だった。
ガーランド監督は「エクス・マキナ」も撮っていた。
あの映画の、部分的に機械が露出している人造人間の造型も妙にエロティックだった。
この映画も、色は鮮やかで、それでいておぞましさに満ちている美を見せていた。
それに、ナタリー・ポートマンもすっかり臈長けた美しさになってきていた。
怪獣(?)に襲われた仲間も出てきて、精神的におかしくなるものも現れる。
一人ずつ仲間は減っていく。
そしてリナがたどりついた灯台で起こる出来事とは・・・。
(以下、ネタバレ)
終盤に入って俄然物語は急展開を見せる。
シマーをつくった何ものかは人間を模倣して存在し始める。
リナの前にもう一人のリナが現れる。私ではないリナを倒さなければ・・・。
なんとか生還したリナの前に死んだはずの夫が現れる。
「貴方はケイン(夫の名前)ではないわね」
「そういう君はどうなんだ?」・・・
存在の仕方が歪んでいる生きものたちの世界が見事に描かれていました。