あきりんの映画生活

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「マチネの終わりに」 (2019年)

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2019年 日本 123分
監督:西谷弘
出演:福山雅治、 

大人の恋物語。 ★★★

 

原作は芥川賞作家の平野啓一郎の同名小説(未読)。
もう真っ向勝負のラブ・ストーリーである。それも若者の軽い恋ではなく、中年になった男女の、いわば人生をかけた恋物語
主人公は世界的なクラシック・ギタリストに、パリ在住のジャーナリスト。
おとぎ話のような設定の主人公たちだが、大人の童話だからそれでいいのである。

 

天才クラシックギタリストの蒔野聡史(福山雅治)は、ある公演の場で、小峰洋子(石田ゆり子)と知り合う。
彼女はパリで活躍するジャーナリストだった。
出会った瞬間から二人は強く惹かれ合ってしまうのだが、彼女には婚約者がいたのだ。

 

もう絵に描いたような設定である。
でも好いのである。これはそんな物語を期待して観にきた人たちへの映画なのである。
福山雅治はどこまでも気障だし、石田ゆり子はどこまでも可憐である。
石田ゆり子を嫌いな中高年男性はいないのではないだろうか(笑)。

 

パリやマドリードの美しい風景。
そしてギターの美しい調べ。
そして美男美女の押さえきれない恋心。

 

しかし、恋物語には必ず邪魔をする人物があらわれる。
そう、薪野のマネージャーの早苗(桜井ユキ)だ。
映画の始めの場面で、早苗が蒔田に思いを寄せていることは判っていた。
そんな彼女が会おうとしていた二人に嘘をついて、決定的な邪魔をしたのだ。
そのおかげで二人は結ばれることなく離れてしまったのだ。
これは、あの永遠の名作「東京ラブストリー」で赤名リカに会いに行こうとしたカンチを引き留めたさとみちゃんではないか(苦笑)。

 

あれ?と思ったのは、薪野との幸せな結婚生活を送っていた早苗が二人に過去の嘘を告白したこと。
なぜ、4年も経ってから早苗は告白した?
ニューヨークでの薪野のコンサートを成功させたかったから? 腑に落ちないなあ。
しかし、クライマックスに向かうためには必要だったか(苦笑)。

 

徹底的に失われた4年間を思えば、二人はそれぞれに絶望的な思いにとらわれたことだろう。
あの後、二人は池を巡ってからどうしたのだろう?
薪野にはもう子供がいるし、その家庭を壊してまでして洋子は薪野と結ばれる?

 

この映画のテーマは「未来は過去を変えられる」という台詞に込められていたように思う。
これからの二人で失われた4年間の意味は変えられる?
原作にはあの再開のあとも描かれているのだろうか?
映画は情感を残して終わっていて、それはそれで好かったような・・・。