あきりんの映画生活

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「地獄の花園」 (2021年)

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2021年 日本 102分
監督:関和亮
出演:永野芽郁、 広瀬アリス、 菜々緒、 小池栄子

ヤンキーOL。 ★★★

 

高校生ヤンキーものというのは、コミックでも映画でも人気分野のようだ。
その世界観を大企業OL世界に持ち込んだアイディアが好かった。
原作は芸人のバカリズム。なかなかやるねえ。

 

大企業でごく普通のOL生活を送っている直子(永野芽都)。
しかしその会社では3つのヤンキー派閥がしのぎを削っていたという設定。
派閥のことなどは直子が優しく親切に解説してくれる。
この直子のモノローグがメタっぽくて楽しい。いわく、「これじゃまるでヤンキー漫画みたい」「漫画だったら私は平凡な脇役ね」

 

ヤンキーOLの3つの派閥の頭が、川栄李奈菜々緒大島美幸
JK風だったり、極悪メイクだったり、口紅はみ出しべったりの、ちび、のっぽ、でぶ(失礼)。
中では菜々緖のケバケバしさが堂に入っていて好かった。
しかし、こんなヤンキー集団が会社にいたら1日でその会社はつぶれてしまうだろうなあ。
そのあり得ないところがこの映画のミソ。

 

そんなある日に、中途採用された蘭(広瀬アイス)が入社してくる。
この蘭がめちゃ強い。直子の語りに拠れば、さあ、主人公が登場よ、というところ。
蘭はあっという間に3人の派閥ボスを倒して社内ヤンキーを統一。ヤンキー軍団のトップになってしまう。

 

すると、今度は周辺の会社のヤンキーOLたちが、次々に蘭に挑んでくる。
なるほど、この世界ではどの会社にもヤンキーOLがいるわけね。
高校生ヤンキーものでも、校内の派閥争いが決着すると次は周辺高校との権力闘争になるものね。

 

片っ端から周辺会社ヤンキーOLを倒していく蘭。
しかし、ついにとてつもなく強いヤンキーOL集団があらわれる。
その頭がミニスカートにガーター姿OLの遠藤憲一。めちゃくちゃ不自然。それを臆面もなく登場させるのがこの映画なのだよ。

 

そして、なんと、蘭はその遠藤憲一の筆頭子分にやられてしまうのだ。えっ!?
それじゃ、映画はこの後どうなるのだ?

 

感心したのはここからの展開。
物語を考えたバカリズム、なかなかやるなあ。感心。
そのバカリズムも直子の人の好い同僚として時折り顔を見せる。まったく邪魔にならない登場の仕方で悪くなかった。

 

さて、思いがけない主人公の交代で突き進む物語。

最後に登場する圧倒的なラスボス役に小池栄子
白づくめのお伽の国の白魔女風で、はじめは誰か判らなかったぐらいに好かった。

 

ヤンキーものだから、集団乱闘やタイマンの場面が頻繁に出てくる。
はっきりいってそのアクション場面は学芸会レベル。まったく迫力感はない。
まったく痛そうでもないストップモーションが入るし、殴られた相手はわざとらしくワイアで飛んでいく。
でもまあ、映画そのものがリアリティを求めてはいないのだからね。許しちゃうよ。

 

今作は何の衒いもないバカバカしさに徹していて成功していた。
あまり期待せずに観たのだが、この憂鬱なご時世にはこういう映画も好いなあ。
同じような路線では「翔んで埼玉」が思い浮かぶ。あれも傑作だったな。