あきりんの映画生活

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「ゴジラ-1.0」 (2023年) 俺の戦争はまだ終わってないんです

2023年 日本 125分 
監督:山崎貴
出演:神木隆之介、 浜辺美波、 吉岡秀隆、 安藤サクラ

原点回帰のゴジラもの。 ★★★

 

日本制作のゴジラ映画としては通算30作目とのこと。
第1作が作られたのは1954年、戦後9年目だった。それからゴジラは、キングコングモスラなど、さまざまな巨大怪獣と戦ったりしてきた。
私も小さいころはそんなゴジラ映画をわくわくしながら観たものだった。いったい何本を観たのだろうか。

 

さて、今作は言ってみれば原点回帰のような作品となっている。
これまでの映画のゴジラは制作された時点の日本に現れて大暴れしてきた。
しかし今作の舞台は終戦直後の荒廃した日本が舞台だった。
それは第1作が作られた少し前の日本ということになる。

 

主人公の敷島(神木隆之介)は特攻隊の生き残り。
それも出撃途中に機体の故障を言い訳にして逃げ帰ってきたという過去を引きずっている。
終戦直後の日本にあっても、彼にとっての戦争は未だ終わっていなかったのだ。

 

そんな彼が出会うのが捨て子を育てようとしている典子(浜辺美波)。
二人は空襲で壊れかけたバラックで助け合いながら戦後を生きていく。
初々しい感じの二人で、互いを大切に思って寄り添っている感じがよく出ていた。

 

このように、今作の導入部は二人の若者を描いた人間ドラマとなっている。
いきなり大音響、いきなり破壊ずくし、で始まるゴジラ映画ではない。
そこは「ALWAYS 三丁目の夕日」や「永遠の0」を撮った山崎貴監督の持ち味なのだろう。

 

そしていよいよ深海からゴジラが現れる。
ゴジラが現れる予兆として大量の深海魚が浮かび上がってくるというところも好かった。
ゴジラは第1作からの系譜を継いで、核汚染により生じた怪獣となっている。
反核思想はこのシリーズの根底に流れ続けている。

 

シン・ゴジラの時代と違って強力な火器はない、さらに敗戦国の日本は武装解除されてしまっている。
日本を支配していたアメリカは冷戦状態となっているソ連との関係から手助けはしてくれない。
この状況でどうやってゴジラを倒す?

 

後半のゴジラとの闘いは魅せるものがあった。
闘い作戦、方法を考案した科学者役の吉岡秀隆も味があった。ジュン君(北の国から、ね)も立派に成長したな。

 

(以下、若干のネタバレ気味なツッコミを・・・)


ゴジラが放射熱線を発した後、しばらくは熱戦を発することが出来ない時間帯があるということで作戦が上手くいくのだけれど、そんなことをどうして知っていた?
ゴジラと闘い始めてからまだそんなデータが集められるほど時間は経っていなかったはずだけれど・・・。

 

それに、よく考えれば吉岡科学者考案の作戦は何の役にも立っていなくて、結局は敷島の特攻作戦で上手くいったわけだ。
それだけでも好かったわけだが、それでは映画にならないか・・・(汗)。

 

それはさておき。人間ドラマもきちんと描かれたゴジラ映画でした。
映画の結末は、甘いといわれようが、好かったですね。敷島も、典子も。