あきりんの映画生活

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「ジャッカルの日」 (1973年)

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1973年 イギリス 142分
監督:フレッド・ジンネマン
出演:エドワード・フォックス、 ミシェル・ロンスダール

狙撃暗殺ものの傑作。 ★★★★☆

フレデリック・フォーサイスの同名小説の映画化で、ドゴール大統領の暗殺未遂事件を扱っている。
歴史上の事実としてドゴール大統領が暗殺されなかったことを観る側は知っている。だからこの映画は結末を楽しみにするのではなく、そこへ至る過程を楽しむ作品である。
そういった意味では、歴史上の事実に材をとった「ワルキューレ」などと似ている。 

アルジェリア政策に不満を募らせた反ドゴールの秘密組織は、外人暗殺者ジャッカル(エドワード・フォックス)を雇う。
一匹狼のジャッカルは、フランスへの入国に必要な偽造パスポートなどの入手、暗殺に用いる改造銃の調達、狙撃地点への到達方法など、綿密な準備をすすめる。
このあたりはきっちりと描かれていて、静かな緊迫感が次第に盛り上がってくる。

準備段階で用意していたある証明書やパスポートは最後のあたりで生きてきて、なるほど、ここまで考えてあったのかと感心する。
狙撃に使う特殊な銃弾も作成依頼するのだが、銃弾が何発必要かと訊かれて、「二発目を撃つ余裕は多分ないだろう」とジャッカルは答える。
う~ん、いいねえ。スナイパーはこうでなければ。緊迫感がまるでなかった「バンコック・デンジャラス」の暗殺者ジョーに聞かせてやりたい台詞だぞ。

一方、フランス側も秘密組織の一員を捕らえて、大統領の暗殺計画があることを察知する。
その阻止の陣頭指揮をパリ警視庁の副総監ルベル警視(ミシェル・ロンスダール)にまかせる。
このルベル警視がもっさりとした印象の人物なのだが、しかし、仕事はやるのである。
なるほど、そうやって人物を特定するか、なるほど、そうやって侵入経路を特定するか、なるほど。
ジャッカルがおこなった偽のパスポート入手手段の推理、ジャッカルが使用した他人パスポートの持ち主の特定など、やるなあ。

こうして、暗殺者側と捜査側の動きが交互に見せられて、その距離が縮まったり、かと思うとまた開いたりする。
追跡する側の調査、推理、包囲網の形成、それに対抗するジャッカル側の潜入、逃亡、この両者の描き方のバランスがとても良く、映画を観る醍醐味を味わえる。

狙撃するとすればこの日しかない、と、ルベル警視がにらんだその日に、ジャッカルは果たして潜入してくるのである。さあ、どうなるのか?
ここまでくると、ジャッカルに狙撃させてやりたくもなるし、ルベル警視の捜査に応援したくもなってくる。それだけ上手に映画が作られている。

この手の映画の最高傑作のひとつでしょう。