1966年 イギリス 119分
監督:ジョゼフ・ロージー
出演:モニカ・ヴィッティ、 テレンス・スタンプ、 ダーク・ボガード
奇想天外な女007もの。 ★★★☆
まあ、お馬鹿な映画です。
もとよりそれを期待して楽しむ映画です。
アントニオーニ作品ではアンニュイの静かな美女だったモニカ・ヴィッティが、この映画では007並の凄腕女泥棒です。
すごいでしょ。
ストーリーを紹介してもほとんど無意味。
というか、ストーリーを追うことに意味があるような映画ではない(笑)。
一応の筋立てとしては、大粒のダイヤをめぐって、女泥棒のモデスティ(モニカ・ヴィッティ)、相棒のウィリー(テレンス・スタンプ)が、ガブリエル(ダーク・ボガード)率いるギャング団と闘う、ということにはなっている。
一応、ね。
映画の見所は、ゆる~いお洒落な雰囲気。
物語とはまるで無関係ないろいろな衣装で楽しませてくれるモニカ・ヴィッティは、まあ、綺麗。
ギャング団が根城にしているのが地中海の真っ青な海に浮かぶ小島。坂道の上に白い石造りのような建物が並び、これもお洒落。
強い日差しの中を日傘をさして歩くダーク・ボガードが、(悪役なのだけれども)これまた、粋。
強引にたとえれば、軽いおしゃれ感覚の「黄金の七人」(この前年の作品)と、馬鹿馬鹿しいセクシーさの「バーバレラ」(この翌年の作品)とを足して、2で割って、それから割引ポイントを引いたようなもの。
アクション・シーンなんて、まったく緊張感がない。そこが好いなあ。
コミカルなやりとりも間が抜けているようで楽しい。
モデスティとウィリーがいい雰囲気になったのだが、モデスティのレーザー衣装の脱がせ方が分からない。
どうやればいいんだ?とウィリーはモデスティに尋ねるのだが、彼女も背中を指さしたりお腹を指さしたりと、自分でも脱ぎ方が判らなくなっている。
ついにウィリーは叫ぶ、着るときはどうしたんだ?(笑)
地中海でのサマー・バカンスのつもりで観ましょう。
ファンの間ではDVDになることがずっと待たれていた、知る人ぞ知るといった名画(迷画?)です。
それにしても、「唇からナイフ」という印象的な邦題、お見事!