あきりんの映画生活

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「バブル」 (2005年)

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2005年 アメリカ 74分
監督:スティーブン・ソダーバーグ

寂しい人たちのドラマ。★★★

1枚のDVDに 「ガールフレンド・エクスペリエンス」 とカップリングで収載されているインディペンデンス作品。
時間も74分と短い。

アメリカの地方都市の人形作り工場で働くマーサ とカイル。
マーサ (おそらく40歳代) は、老いた父親の面倒をみている肥満気味の独身女性。
母親と暮らすカール (20歳代) は、人が大勢集まる場所ではパニック障害を起こすような繊細な青年。

寂れたような小さな街。小さな町工場でただ働くだけの単調な生活。
華やかさはなく、夢を持つような気力もなく、二人はマーサの車で工場へ行き、一緒に食事をしたりしている。
単調だけれども穏やかな生活。
工場では無表情な人形の手足や顔が、黙々と作り続けられている。

DVDでペアとなっている 「ガールフレンド・・・」 はあまり面白いと思えなかったが、この 「バブル」 はさすがにソダーバーグと感心させられるものとなっていた。
なによりも空気感が好い。

ある日、若いングル・マザーのローズが新しく雇われてやってくる。
穏やかだったマーサとカールの関係にローズは割り込んできて、若い二人はすぐに親しくなっていく。
実はマーサは、カールに対して自分でも意識していないようなほのかな思いを抱いているようだったのだ。
その微妙な感じは、観ている者に実に良く伝わってくる。上手い。

3人の出演者 (後半にローズの別居している旦那も登場するが) はアマチュア劇団の役者とのこと。
撮影場所もスタッフの自宅とのこと。
そのためもあってか、物語は実にリアルである。
傍目にはなんでもないようなマーサの心の動きが、ぴしぴしと伝わってくる。

そしてある晩に事件が起きる。
被害者も加害者も、何故こんなことになってしまったのか、理解できなかったぐらいに何でもないことのように事件が起きている。
それどころか、加害者も、自分が何をしたのかを理解できていなかったぐらい。

それなのに、観ている者にはとてもよくわかってしまうのだ。
事件は起きるべくして起きたと、感覚的にわかってしまう。

さすが、ソダーバーグである。やはり、並ではないなあ。