2014年 アメリカ 118分
監督:ダン・ギルロイ
出演:ジェイク・ギレンホール、 レネ・ルッソ
フリー・カメラマンの狂気。 ★★★
ルイス(ジェイク・ギレンホール)は窃盗でやっと食いつないでいるような、いわば社会のはみ出し者。
そんな彼は、遭遇した交通事故現場で写真を撮る男を見かける。
何をしているんだ? 事件現場の写真をスクープしてTV局に売るのさ。
へえ~こんなことがお金になるのか・・・。
(この仕事をしている者をナイトクローラーというらしい。もともとは”ミミズ”の意)
ルイスは盗んだバイクを売ったお金で安物のビデオカメラや警察無線の盗聴器を調達する。
さあ、俺もスクープ映像を撮って金儲けをするぞ。
なにしろこれまですさんだ生活をしてきたルイスなので、倫理観とか、良心とか、そんなものはこれっぽっちもない。
とにかく衝撃的な映像を撮るぞ!の一念があるのみ。
さあ、この映像をテレビ局に売り込むぞ。
ルイスの撮ってきた映像は、ニュース番組のディレクターのニーナ(レネ・ルッソ)の眼に止まる。
いいわね、もっと頑張って視聴者にうける映像を撮ってきてちょうだい。もっと高く買うわよ。
テレビ局はテレビ局で話題になるような映像を欲しがっている。
ナイトクローラーはますます衝撃的な映像を得ようとする。
そのために、警察より先に現場に到着したルイスは勝手に家の中に入り込んだり、ときには現場の***を移動させたり・・・。
もはや狂気に取りつかれているとしか思えないルイスだが、その背景には、そんな映像を欲している視聴者がいるわけだ。
大衆の需要があるから、それに応えて金儲けをしようとする者が出てくるわけだ。
とにかく、ぎょろ目のジェイク・ギレンホールの怪演で成功した作品。
その異様な目力は尋常ではない。
この映画のためにギレンホールはかなりの減量をしたとのこと。
映画は夜の都会のあちらこちらで起こる事件現場と、それをいかにセンセーショナルに放送するかのテレビ局が舞台となっている。
人々の心のなかにある夜の部分と、うわべだけを追いかける虚飾の部分が、象徴されているようだった。
(以下、映画の最後のネタバレ)
物語としては、 (かってのタクシーの運転手のように) 破滅に向かって突き進むのかと思っていたが、そうではなかった。
ルイスの、ナイトクローラーとしての自分をますます先鋭化していく姿で終わっていた。
完全に狂気に入り込んでいたなあ。