Vol.1 2003年 アメリカ 113分
Vol.2 2004年 アメリカ 136分
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ユマ・サーマン、 デヴィッド・キャラダイン、 ルーシー・リュー、
千葉真一、 栗山千明、 ダリル・ハンナ
バイオレンス・アクションもの。 ★★★★
物語はタイトル通りに、ビルを殺す復讐譚。
長身のユマ・サーマン扮するザ・ブライドが、服部半蔵(千葉真一)が鍛えた日本刀を片手にぐさぐさと敵を斬り殺していく。
タランティーノ監督といえば、大の日本びいき、チャンバラ好き、そしてマカロニ・ウエスタンやカンフー映画のファン。
彼の監督作は初期の2作、「レザ・ボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」も好かったけれど、疾走感、滅茶苦茶ぶり、単純明快さなどからは本作もお気に入り。
Vol.1、Vol.2のシリーズで、前半ではとにかく復讐のアクション満載、後半でその復讐にいたる物語も明らかにされる。
暴力と、そしていささか歪んだ愛の物語だったのだ。
結婚式のリハーサルの日に、かっては自分も属していた5人の殺し屋集団に襲撃されたザ・ブライド。
夫も友人も殺され、お腹にいた子も奪われ、自身は4年間も昏睡していた。
おのれ、この恨みはらさでおくものかっ!
対決する一人目は黒人の女殺し屋。
今は幸せな家庭を持っている彼女の家での決闘。
この冒頭からスピード感あふれるアクション全開。こりゃ楽しめる映画だぞと思わせてくれる。
女殺し屋を倒した後に、それを彼女の娘に目撃されてしまったザ・ブライドは、「大きくなったら私を殺しに来ていいよ」という。味だなあ。
次の大立ち回りの舞台は、東京の大料亭。妙に中国っぽいところが面白い。
相手はこちらも刀の使い手のオーレン・石井(ルーシー・リュー)。
配下にはグリーン・ホーネットのマスクをした一団、それに栗山千明扮するゴーゴー夕張。
片言の日本語も飛び交って(ヤッチマイナ、カカッテキナ)、手足は切り落とされるわ、頭には木材が突き刺さるわのスプラッター場面となる。
ザ・ブライドは印象的な黄色いトラックスーツを着ているのだが、これはブルース・リーへのオマージュとのこと。
なるほど、ブルース・リーはこの衣装だったなあ。
それ以外にもこの映画はかっての映画へのオマージュだらけ。タランティーノの偏愛ぶりがうかがえる。
それが波長に合う人にはたまらない魅力となっている。
Vol.2になり、ザ・ブライドが小さな田舎の教会で襲撃された日が回想される。
そして、かってはザ・ブライドとビルは恋人関係にあったことも明らかになる。
でも、もう容赦はしないわよ。
中国拳法の苦しい修行を積んで、必殺技も会得してきたのよ。
(この修行場面はとても漫画チック。生き抜き場面かな 苦笑)
さて次はビルの弟のバド。
しかしその対決でザ・ブライドは・・・。
さらに碧眼の女殺し屋エル(ダリル・ハンナ)。彼女は中国拳法の兄弟子だったのだ。
ダリル・ハンナといえば、トム・ハンクスと競演した「スプラッシュ」しか知らない。あんな清純な人魚がこんな性悪な殺し屋になっていたなんて(笑)。
そしてついにビルと対決するためにザ・ブライドは彼の家に乗り込むのだが、そこにいたのは・・・。
単にスプラッター復讐譚だけではなくて、ちゃんとそれなりの物語も用意してあるところが憎い。
おお、ビルはそういうことをしていたのだね。ザ・ブライドは4年間も昏睡していたんだものね、それだけの日時は流れていたわけだ。
タランティーノの音楽の趣味にも唸る。どんぴしゃ。
オープニングにかかるのは「バン・バン」。哀愁のあるメロディに過酷な詩が乗っている。いいなあ。
そしてエンディングにかかるのは、なんと、梶芽衣子の「恨み節」である。やるなあ。
途中で挿入された「マラゲーニャ・サレローソ」という曲もお気に入りになった。
この映画は、あまりにふざけているとみるか、この監督の偏愛ぶりがうまくいかされているとみるかで、評価は変わると思う。
私は大好きでした。「女いのちの~恨み節~」。